BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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金ヶ崎睡夢戦 羽根 【上巻】

『金ヶ崎睡夢戦 逆光』と対になる小噺
三成視点・お市戦
ゲームネタバレ多少あるので、まだクリアーしてない人などはご注意を。
家三です。
長いので、まずは上巻からどうぞ。

今回モブ将が出張ってます…




「なんて綺麗な 貴方の 白い羽根」

女は、この世の者とは程遠い白い顔に奇妙に儚い笑みを浮かべながら。

「ね、それ、市にも分けて呉れないかしら」

育ての親から贈られた、銀と金で飾られた豪奢な羽織がきらきらと光の粒を撒き散らしながら、ひらめくので。
これか。これが欲しいのか。

「ね、それ市にも頂戴。」

違う。
無邪気に伸ばされた細く長い、牡丹色の衣装に包まれた手が、頬に伸びれば。
一瞬にして、意識は誘われた。
あの夜に。

君が 手折った。
この羽根を。

あの夜に。






それでも、愛惜しいと想わずには居られない、あの夜に。







気付けば、両肩を親衛隊員達に支えられて、自陣に引き戻されていた。
親衛隊長の嶋の「退け!!道を開けろッッ!!」という、怒号が響いている。
「…な、せ」
離せ、と発しようとしたのに、上手くいかないことに微かに驚いた。自分は今、どういう状態なのだろう。
「三成様、喋られてはなりませぬ」
右肩を支えている隊員が、変わらずに押し殺した声音で囁いた。
「傷が深こう御座います」
その言葉に、はっと思い出す。
敵は奥州は江戸重通。小田原攻めでの不参陣が切っ掛けとなった御家衰退の最後の抵抗として、密かに北条からの支援を得、叛乱の狼煙を上げた。
北条へは三成自らが赴き、般若もかくや、の面で「今ならば太閤様の御情けが下ろう。それに平伏さぬというならば、今、この場で、この石田三成が一族郎党皆殺しにしてくれる」と完全に沈黙に伏され、孤立無援となった江戸家捨て身の篭城戦――親衛隊員達の「前に出過ぎで御座います」という悲鳴を一笑に付し、三成は単騎で本陣へと攻め込んだ。だが、それは追い詰められた者の叛逆の牙の恐ろしさを知らぬが故の、軽率な突撃であったと。
今、この状態が物語っている。
「最上、の」
三成が、げほげほと喉を焼いた煙を吐きながら呻く。
「奥州の狐めの…か、やく、が」
「三成様!!」
先頭を行く隊長の嶋が振り返り、三成の肩に手を置く。
「喋られてはなりませぬ!!」
「…っ、ここにまで流れている、とは、なっ…」
ごほっ、と強く咳き込み黒い痰を吐き出すと、三成は「おのれ…!!」とぎりぎりとその切れ長の目を更に引き攣らせながら、目の前の嶋に問うた。
「て、敵はっ…」
「はっ。敵将、江戸重通、既に降伏の意思を示しまして候。ただ今徳川陣営にて其の身、捕らえられておりますれば」
「なっ…!!」
嶋の答えに、三成の眼が更に血走る。
「降伏を…赦しただと!?な、ぜ、ころさっっ」
がはっ、ともう一度深く咳き込む三成は家臣達に宥められつつ、たどり着いた本陣の板戸の上に寝かされ、すぐさま豊臣の桐紋が刺繍された羽織が被せられた。
「…云えっ…嶋!江戸重通を殺さず、降伏を赦した者の、名を…!!」
食いしばった歯の間から、今にも血を滲ませそうな三成の様子に、嶋が深く息を吐き、それから至極静かな声で告げた。
「――徳川殿が、江戸重通を捕らえました」
「なっ…!!」
その名を聴いた瞬間。
すべてを思い出した。
深く切り込み過ぎた自分。追いつこうと急いた親衛隊員達は、潜伏していた爆弾兵達の餌食となり、そして自分もまた――

   危ない 三成

あの声音を、今、耳に思い出した。
爆風の中を、己の身を顧みず手を伸ばした、あの影は。
「家康が…私を助けたのか」
「はっ」
嶋が抑揚の無い、低い艶のある声音でいつも通りに答える。
「三成様が爆風に呑まれ気絶されたところを、すかさず抱えて走り、私共に三成様の御身を託されました」
「…何故ッ…」
ぎゅ、と拳を握り締め、がばっと上半身を起こしながら。三成は、滾る怒りを顕にした。
「貴様らは何をしておったのか!!」
響き渡る怒号に、嶋はじめとする親衛隊員達、そして控えの小姓達がただひたすらに畏まる。
「影にして我が身を護り、我が血路を斬り開く!!それが石田三成親衛隊の役目であろうがッ!!それがッ…家康にこの身を助けさせたなど、なんたる失態!!」
そこまで一気に叫ぶと、三成はもう一度激しく咳き込み、酷く打ち付けた脇腹を抱え込んで呻き声を上げた。煤で塗れた紫苑の銀髪が、頼りなくほつれる。
「三成様!!」
嶋が思わずその肩に手を掛けようとした瞬間、「触るな!!」と、三成は其れを激しく打った――時。

「もう止せ…三成ッッ!!」

黄金色の鮮やかな装束を煤に汚して。
徳川家康が、いつの間にかそこに立っていた。
「…家康ッッ…!!!」
三成がぎりぎりと歯を鳴らしながら、よろけながらも立ち上がってその胸倉を掴み上げた。
「何故、こ、ろさ、なっ…秀吉様に…逆らう、もの、などっっ!!」
「江戸は完全降伏した!!今、無下に命奪わずとも、後で充分な購いのうえ、腹を切らせることも出来よう!」
どこまでもよく通る、男らしい溌剌とした声音が三成に向かって発せられた。
「…三成、お前わかってんのか…!!」
ぎゅっと。
今度は家康が、自分の胸倉にある三成の拳を握り返した。
「お前の無茶な…いや、相手を舐めた突撃の為に…お前の家臣…石田親衛隊員が二人も死んだんだぞ…!?」
「なっ…」
家康の言葉に、三成が狼狽する。
「…嶋」
「は…」
「それは、まことか」
「はっ…横地、そして蜂須賀…散りまして、御座います」
「…私を」
庇ってか。
酷く低い声音で、三成が家康を睨みつけたまま、問うた。
「――」
嶋はそれに、沈黙で以って答えて。
「――何故私を助けたッッ!家康ゥアッッ!!」
次の瞬間、三成が銀糸の髪を振り乱し家康を強く揺さぶった。
「三成様!!」
「三成様、落ち着いてくだされ!!」
親衛隊員達が駆け寄り宥めすかすが、三成の慟哭は止まず。
「誰も助けろなどと頼んではいないッ…散った二人の為にも…私が江戸の一族郎党血祭りに」
「お前まだそんなこと云ってんのか!?自分をよく見ろ!!ろくに立てもしてねえんだぞ!?」
だが、口調までも乱れた家康の凄みに、三成が一瞬、息を呑んでたじろいだ。
そこをすかさず、嶋が三成の肩を支えて座らせる。
「三成様。兎に角、今は御身を癒すことだけを。もし貴方様になにか御座いますれば、この嶋、いいえ、石田親衛隊全員、秀吉様の御前で腹を切らねばなりませぬ」
「……」
嶋の言葉の重さにがくり、と肩を落とし、三成が膝を折った。
「来やれ!!」
嶋の声に、控えていた小姓たちが飛び跳ねるようにして、慌てて三成の肩に羽織を掛けなおし、水を差し出し介抱しだした。
「それと、早く匙を!!お前達、三成様を頼む――徳川殿、よろしいか」
次に嶋はざんっ…と立ち上がると、陣中の外へと家康を催促した。
二人の足音が遠ざかるのを、聞きながら。
三成は、差し出された水を飲むことさえ出来ずに、ただ打ちひしがれた。



陣幕から出てしばらく家康と共に歩いた後、前を行く嶋は兜から流れ出る漆黒の髪をさらさら鳴らしながら振り返り、家康に向かい合った。全身を黒と、所々きつい臙脂色で縁取られた長い羽織を靡かせる長身の若武者は、その佇まいだけでりぃん…と、騒々しい戦場に在っても涼しげだった。
「――徳川殿…いえ、家康殿」
嶋から初めて名で呼ばれ、家康は驚きを隠しきれずに、は、と息を呑んだ。
「貴公の三成様への友愛、誠、心から畏れ入りまする」
深々と頭を垂れる嶋に、家康は「…嶋、殿?」と戸惑いを露にした。
なにせ、半兵衛の遺志を継ぎ、三成の為なら百回でも千回でも命を捨てられる、というような忠誠心の塊の連中、更にそれを纏め上げる親衛隊長ともなれば、嶋の三成への献身と忠誠は、彼の竜の右目と匹敵するやも、とさえ思われるのに。そんな嶋から見れば、三成の周りに“纏わりつく”、外から来た将である自分など、心底疎ましいものだろうと思っていたくらいだから。
「三成様を、苛烈…或いはへいくわいものと揶揄する者も居ります。実際、気性の激しい御方だ。だというのに…貴公は小牧・長久手の戦いで豊臣に下って以来、三成様の背中をいつも守ってきてくださった」
「え…」
気付かれて、いたのか?
家康の見開かれた山吹色の瞳と、少し赤らんだ頬に、嶋がふ、とゆるり目を細めた。
「だが――その苛烈さの裏に、繊細で危うい、儚い御心を潜ませております。ご存知でしょう?あの御方の造られた庭の、美しきことを」
「ああ…」
そうか、この男は。家康は苦々しい恥じらいを噛み締めながら、嶋から目を反らした。
この男もまた。三成の美しさに惹かれ、それを――
だからこそ、気付かれているのだと。
家康の様子を知ってか知らずか、嶋は淡々と話を続ける。
「三成様はこの合戦場に入る前、ここを棲みかにしておったきこりの一家に路銀を持たされて…一刻も早く逃げるように、とお情けをかけらました。“自分も所詮、しがない土豪の末子だった故、ああいう立場であってもおかしくはなかったのだ”と、仰る…秀吉様の御寵愛を一心に享けておられるような御方が。お優しいのです。そう、もののふ足るには余りにも線が細すぎる。故に、あの御方は苛烈でなければならない…心を、守るために」
「…嶋殿…」
驚きだった。
まさか、いくら三成が元服した時から傍に仕えていた古参とはいえ、ここまで――三成の心を察していようとは。影のような、この男が。
「ですが、もうこれ以上は踏み入られるな」
低く。声音を一段変えながら、毅然と嶋は家康に向かって言い放った。
「貴公は所詮、外の者だ。豊臣ではない」
その言葉に、家康は息を呑み――「ああ」と、呻くしか、なかった。
そう。そのとおりだ、と。
自分は豊臣に尽くす為になど、生きていないのだと。この目の前の生粋の血脈とは、違うのだと。
嶋は畳み掛けるように、家康に向かい言葉を続ける。
「半兵衛様亡き後、三成様は必死でその穴を…半兵衛様を失くされた秀吉様の御心の穴を埋めようと、必死なのです。それだけではない、政でも、戦場でも。こなせるわけがないような量の枷を、抱え込んでおられる…まだ、あの若さで」
「……」
嶋の言葉に、家康はもう何も云うことは出来なかった。それはすべて、正論だった。
「どうか、もうあの御方の心を乱してくださいますな。貴公のその温もりと懐の深さは、逆にあの御方を追い詰めるのです」
「…そうか」
短く。強く瞳を閉じながら、家康はそう云うしか、なかった。
本当にそうなのだから。今さっきのやりとりが、そういっているのだから。三成のあの、追い詰められた瞳が。自分を睨みつける眼の、哀しみが。
「私達豊臣の者にとっても…あの御方は、最後の拠り所なので御座います。希望なのです。豊臣の…半兵衛様が遺された、守り刀なのです。どうか、お分り下さいますよう」
毅然と突きつけられた拒絶に、家康はむしろ感銘さえ覚えていた。
なんという誇り高き影。これが、豊臣の力なのか、と。
「三成は、良き家臣を持った」
そう云いながら嶋に向かって苦く笑うと、嶋もまた、黒い般若の面の下で微笑んだようだった。
外せばきっと、麗しい若武者の素顔があるのだろう。竹中半兵衛が選りすぐった石田親衛隊の面々は、美男子揃いでも名高い。

   三成は美しいだろう?

何故か少しの翳りを顔に浮かべ、それでも愛しそうに修練場で剣を振るう三成を見詰めていた半兵衛の横顔を、家康は今こそ懐かしく想う。
もう一度、逢いたいとさえも。
竹中殿。今なら、貴殿のお気持ちを察することが出来まする、と。



そのやり取りは、風向きがよかったのか悪かったのか、ほぼすべて陣幕の中の三成の耳へと届けられていた。
三成の蒼白な顔は、嶋が家康に一礼を済ませこちらへ帰ってくる気配を察した時、更に死人のように蒼白くなるばかりで。
「三成様」
やがて陣幕の中へと戻り静かに主に跪くと、嶋は何事もなかったかのように、戦況の報告を始めた。

江戸陣営、完全に降伏しまして候。
反対の川下より退路を塞いでいた刑部殿の陣営も、既にこちらに引き返して候。
太閤様への報せの早馬は、先刻発ちまして候。

淡々と続けられる嶋の報告に、三成は半身を板戸から起こし、それを小姓に支えられたままで、押し黙って聞いていたが。
やがて「…以上に御座います。また、なにか御座いますれば」と、立ち上がり静かに幕から出ようとした嶋に。三成は、呼びかけた。
「――左近」
低く、押し殺した小さな声音に、はっと嶋は漆黒の陣羽織を翻しながら、傷身の主へと振り返った。
「苦労を、かける」
深く俯きながら。三成は、そう云った。
己に頭を垂れた其の日から、今の瞬間まで、影のように自分に従い、護り続けてきている男に。
「――いえ」
嶋は、微かに上ずったように応えた。
黒い般若を模った面の下の秀麗な眉と瞳が細められ、整った唇から――言葉に成らない何かがほんの少しだけ零れ、それが過ぎた後、嶋はいつもどおり主に深く頭を垂れた。
「いえ…三成様」
たとえその銀糸に、雪のように冷たく白い頬に、薄く整った唇に触れること、叶わなくとも。
「左近の命は、貴方様の為に在りますれば」
其の言葉にふいにあどけなく、三成は苔色のびいどろのような瞳を細めて、苦しそうに微笑んだ。


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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