BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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金ヶ崎睡夢戦 逆光

プレイ後初SS
家康視点・お市戦
ゲームネタバレ多少あるので、まだクリアーしてない人などはご注意を。
徹底して家三。家三です。
多少の暴力表現があるので、一応R-15にさせて頂きます。
16歳に成っていない方は、閲覧をご遠慮願います。





   鳥が堕ちた
   この手が 殺った

   夢を 見ていた
   君が この手を選んでくれる 夢を

   君が染みた
   血のように
   この胸に
   白い羽根 撒き散らしながら

   寝ても醒めても
   もう“現実”しかないのは

   分かっていたのに

   夢を見ていた
   君が この手を
   選んでくれる 

   夢を














「お市殿」
目の前の、曼珠沙華色を撒き散らしながら漂う儚い人に、呼びかけた。
「もういい、眠ろう」
今、自分がどんな酷い顔をしているのか。
まざまざと、彼女の闇色の瞳に映るのを確かめながら。
それでも拳を突き上げた。
その、細い腹に向かって。仕留めるために。


「どんな酷い夢でも、現実よりはいい」


そう云った時。
彼女の腕が伸びた。
そっと、自分の頬に。
「――家康様!!!」
誰だろう。誰かの悲鳴が響く。
だが、瞬時に意識は闇に堕ちて――閉じて。
気付けば、自分は居た。
あの夜に。
君を
堕としめた、夜に。
君はきっと赦さぬであろう、月影の夜に。

















「――お前が、何を云っているのか、解らない」

蒼褪めた美しい顔に、今までに見たことの無い笑みが浮かんでいた。
まるで、柔らかな甘い褥から、真っ逆様に地獄に突き落とされた者のような。
引き裂かれるような笑み。
人は、真に絶望と呼ばれるものに対峙させられる時には、本当にこんな乾いた笑みしか浮かべられないと、想い知った。
この夜。

「――三成」

それでもまだ離せずに。
白く細い冷たい手を、必死で握る自分を醜いと想わざるを得ない。でも。それでも。
言の葉紡いだあの夜を。

「頼む」

縋るように、もう一度云う。

「儂の云うことを聞いてくれ」

月影に映える白い肌が歪む。大きく綺麗な苔色の瞳の目元に皴が寄る。
お前が何を云っているのか、解らない。
もう一度云いながら、三成が必死で身を捩り、この手を振り解こうとしていることを。何故、二度も、こんな。
「秀吉公の選んだ道は、この日の本を、滅びへと導くんだ」
絞るように、とうとう云ってしまった、自分の選んだ道を。
「――何を」
三成は、相変わらず引き裂かれたような笑みを浮かべながら、必死に握り締められた腕を引き剥がそうと、身を捩っていた。
これは、悪い夢なのだと云いたいように。
でも、続けた。止めを刺す様に。あの月影の夜に。
満月が、君の姿を白い鳥の様に美しく照らし出す夜に。
「日の本の民を顧みずして、世界を目指そうなどと――諸大名の心は、最早」
自分は今、どんな顔をしているんだろう。
お願いだから。
だが、こんな縋る願いも、きっと君の中では叶わないと知っているのに、解っているのに。
「…秀吉様が、間違っていると?」
三成の顔から笑みが静かに退き、凍ったように引き攣った。
白い面に、斬られるような哀しみが、血が滲むように浮かび上がる様を。
何故。二度も、今自分は繰り返し見ているのだろう。
「秀吉様が間違っているというのか」
身を捩ることを止め、三成は酷く静かな冷たい声音で、今度は挑むようにこちらに臨んできた。
「家康」
答えを。答えを返さねばならない。
圧し潰されるような沈黙の後、家康は真っ直ぐに三成の瞳を捉えながら、云った。
「そうだ」
「――貴様ァアアッッ!!」
瞬間、空いた手のほうでガッ、と三成は家康の胸倉を掴み上げた。
「頭を垂れろ!!懺悔して詫びを入れろッッ!!今、直ぐにだ!!」
「入れぬ!!」
ぎっ、と。三成が痛みに顔を顰める程に、彼の左腕を掴み挙げながら。
家康も吼えるように応えた。
「まだ纏まりきらぬ日の本の民を、大切な働き手である男達を皆兵士に仕立ててどうする!?豊かな土壌あってこその国だぞ!?お前だって知っているだろう、今農民達はほとんどの男達を徴兵されて、年寄りに女子供達がどれだけ苦労しているか!!検地をして来たお前なら解っている筈だ!!」
「それは強き国を作るための、致し方なき犠牲だ!!脆弱な国になる方が、余程民の未来の為に成らぬと、何故解らぬ!?」
三成も、悲鳴に近い答えを。
「私は見た、日の本の外つ国の持つ強き武器、強き兵たちを!!あれらはやがて朝鮮を経てこの日の本を狙うのだ!!なれば、その前に――」
「――だが!!」
だが。掴まれた胸倉の、三成の手首に静かに己の手を重ねながら。
家康は涙ながらに呟いた。
「…其の前に、足元を固めずにおれば…足元を掬われるのだ…!!」
事実、自分の下に既に――反豊臣派の戦力が集結し、今や家康の声を待つだけになっているこの、現実が。豊臣の、黄昏を予言しているかのようで。
否。
既に、事実として始まってしまっているのに。
「…三成」
目の前の、月影のように儚い細い面にもう一度向き直る。
「お願いだ。儂の元へ来てくれ」
ひゅっ、と。三成が細い喉を引き攣らせて、息を止めた。
「お前の力が必要だ」
胸倉を掴んでいる冷たい手を、強く握り締めながら。家康は乞うた。
月影に揺れる、多分、世界と引き換えにしても構わないと想うくらい、愛しい者に。
「徳川と生きてくれ」
その瞬間、三成が吼えた。
「離せぇええッッ!!!!」
獣が吼えるように、必死に身を捩るのを、家康は自分でも信じられない程に冷たく、押さえ込んでいた。
「離せ、下郎ッッ!!秀吉様に、秀吉様に弓引こうだけでも赦されぬというのに、その手に我が手を重ねろと云うかッッ!!!」
「そうだ!!」
「――ふざけるなッ!!」
三成が、空いた拳を振り上げた。其れを掌でがしり、と受け止めながら、家康は続けた。
二人だけ、やけに月が明るく白い夜、二人でいつか寝そべった丘の上で。
「いいか三成、お前の手腕ならば、もっと違う形で民草のために」
「馬鹿な…!!そういう問題ではない…家康、そういうことではない…!!」
両手を塞がれ、必死で身を捩りながら。三成は涙を搾り出すような声で、続けた。
「…私は、豊臣の子なのだ…!!」
嗚呼。と。
家康の瞳がきつく閉じられ、苦悶に眉が顰められた。
そう。この、痛々しい程に真っ直ぐで無垢な男が。
あの育ての親達との絆を切って、この手を選んでくれることなど。
それでも。
ふっと、家康が三成の手を解放した。「ッッ」と声に成らない悲鳴をあげて、三成がよろけるのを、今度は優しく、至極優しく支えながら。家康は乞うた。
「…其れを、捨てて」
息を呑む。
残酷な、願いを。云ってしまう前に。
「儂を選んで呉れ。三成」
顔を、見詰めながら云うことなど、出来なかった。縋るように、その胸に頭をつけて呟いた。
「頼む。お前を失いたくない」
まるで永劫のような、一瞬の後に。三成が応えた。
「…家康」
細い蛇のような首を深く、自分の胸に顔を埋める男に向けて傾けながら。三成は応えた。
「…家康。それは、出来ない」
ぽとり、と。家康の黒い髪の上に、三成の涙が落ちた。
「私は、豊臣の子。今も、そして死ぬまで。この命は秀吉様の天下の為に在る」
静かに、家康が三成の胸から己の顔を上げた。目の前には、死人のように蒼褪めた美しい顔と、月に照らされてびいどろのように透きとおる、苔色の涙に濡れた瞳が在った。
「離せ」
静かに。三成は告げた。
今の瞬間まで、恋い焦がれ、指絡ませた男に。
「家康。私はお前を殺さねばならない」
静かに涙をひとすじ、落としながら。
それでも、はっきりと艶のある低い声音は告げた。
最早これまで、と。
三成の手がしゅっ、と腰の脇差に伸びる前に。
家康が其の手を捻りあげ、さっと三成の背後を取りそのまま――
鈍い嫌な音がして、三成の低く、くぐもった悲鳴が月下に響いた。
だらり、右肩がおかしな下がり方をして、三成は肩を外されたことに動揺して思わず家康の顔を見た。
どんな時も、密かに己の傍に居て、いつ庇おうかと伺ってさえいてくれた、男は。
今、暗い瞳で、何の感傷も抱かぬような冷たい表情で、自分の肩を外してそのまま――首を掴み、静かに締め付けてきた。
信じられない。
三成の凍りつく表情を静かに受け入れながら、家康はそのまま彼の人を草の上に倒しこんで、その細い体の上に覆いかぶさるようにしながら、耳元で囁いた。
「出来るのならば」
ぞくり、と。三成は今までに聞いたことのない家康の声音に、背筋を粟立てた。
「このまま、両腕を手折ってでも、お前を攫いたい」
は、と。三成は瞳だけ動かして、家康の表情を捉えようとしたが。
うつ伏せに倒されて、背中から押さえつけられている今は、それが出来ない。
そして感じた。
本当にそうしかねない、と。この男は。
私の羽根を手折ってでも、連れ去る気だと。
「…ッ離せッッ…」
必死で土の上で藻掻くが、余りにも遅すぎた。
こちらは何の覚悟もできていなかったのだ。悔しさに、顔が熱るのを感じる。
「殺せッッ…!!」
三成の小さな叫びに、家康がひくり、と顔を引き攣らせた。
「今私を攫ったとしても、豊臣に弓引かされるくらいならば、私は――」
ここで死ぬ
そう続けようとした瞬間、ぐるりと視界が反転した。
目の前に、鮮やかな月と星が一瞬降って、それから。
それから、ふっと涙に濡れた山吹色の瞳をようやく捉えることが出来て、それから。口を塞がれて、息が止められた。
縋るように重ねられた唇は、あの夜に感じたときと変わらない柔らかい温度で、きつく容を辿るのに。
相手の唇を咬み切るために三成が薄い唇を開けた瞬間、家康の舌は奥まで容赦なく割り込んで、三成は息を詰まらすことしか出来ず。
今までされたことのないような貪る様な、喰らわれるような感覚に眩暈がする。
「…ッッ」
それでも自分の歯をなぞる舌に咬み付けば、じわり血の味が甘く、ぬるく広がった。
つう、と、飲み込めない露と血が混じり、三成の口元を伝って。
家康もまた、彼の人の「その薄いところが好いておる」と指で撫でてなぞった唇を咬んで、お互いの血の味が混じった。
甘く、ぬるく。
頭の芯が痺れるような。
「…ふっ…」
三成が潤んだ瞳で、目の前で滲む男の顔を捉えた後、そっと。
いつのまにか自由になっていた左手で、家康の頭を撫でた。
瞬間、家康の身体が凍りつく。
それから静かに血まみれの唇は引き離され、家康は見下ろさねばならなかった。
露で薄く朱色になった血の筋が、口元から流れている三成の頬を。震える手で撫でながら。それから家康は「……ッッ」と、声に成らない嗚咽を吐いた。
三成もまた、静かに声も立てずに涙を流しながら、左手で愛しい人の頬を撫でた。
相手が君でなければ、この手は撫でずに首を締め上げているだろうに、と、泣きながら。
「……」
三成の唇が微かに動き、なにかを呟いたが。
もう、それを訊く気力は残っていなかった。
こうなることは、解っていたのに。
どうせなら、なにも知らせず豊臣の子として殺してやったほうが、余程この真っ直ぐで無垢な白い鳥には安らかだったかもしれないのに。

   お前は美しくて、哀しすぎる。

心の中で呟いて、家康はそっと三成を抱え上げると草の上に座らせて、ぶらりと揺れる肩と背中に手を添えて、「動くなよ」と云った。
「ぐっ」
三成が苦痛に顔を一瞬顰めたが、外された肩はごきり、という音と共に元の場所へ収まって。
「…馬鹿力…」
三成が呟いて、左手で右肩をさすった。
「すまん」
胡坐をかきかながら、家康が応える。
は、と息を吐いて凍えるように両肩を己が腕で抱いた後、三成がさっと家康に向き直りうつむけられた顔をするり、と覗き込んだ。
「お前は」
驚くほど、柔らかな声が響く。
「私の心を解っていないけれど、私を愛しく想うておる」
其の言葉に、家康の目が見開かれ、息が止まった。
「それが、嬉しかった」
それから三成の冷たい、血に濡れた薄い唇は同じ様に血がこびりついたままの家康の口に重ねられたので、もう二人は何も云えずにそのまま草の中に倒れ込んで、声を殺して泣いた。

   赦せ、赦してくれ

そう乞いたかったが、それすら浅ましくて、細い身体を只きつく抱き締めることしか出来なかった。
自分は絆を。
天下泰平という絆の為に、この繋がりを引き千切って往くのだと、解ってしまったから。
たったひとつの繋がりを。密やかな淡い想いを。
酷く静かなことの後。
「――この肩が癒える頃」
目を伏せながら、三成が呟いた。
「反旗を翻すがいい」
うっすらと、月影に儚い瞳が揺れて響いた。
「私は豊臣の子として、お前を迎え討とう」



いと惜しむように深いくちづけだけを残して。
冷たい掌が胸を伝って首をなぞって、髪を撫でた。
月の光を背中にして、あれはほんの少し笑んで呉れた気がする。

二人で重ねたほんの少しの、だが余りにも重くいと惜しい日々が。
星のように降って、消えた。
あの夜。









『――そう』

優しい、甘えた童女のような声音が、気付けばすぐ耳元で響いた。

『其れが、貴方の夢。』
気付けば三成の姿は既に無く、代わりにすぐ横で牡丹色の甲冑に身を包んだ、濡れるような黒髪の女が無邪気に嘲っていた。
『哀しいね。切ないね。起きている方が、きっとまだ良いのね。』
くすくすと、白い顔が目の前で嘲う。
『もうあの日には戻れない…』
ばっと、家康はその女に構えながら向き合った。
「――何故ッッ…」
この女は。
闇を自在に操り其の中に潜ることさえ可能ならば。
儂の心の中にまで入り込めるというのか。
『ふふふふ、そう、そうなの。』
お市が幼子のように、手を口に添えて嘲う。
『貴方の夢の中にも、入れるよ。あの人の夢の中にも入ったけれど、二人とも本当によく似てる。』
「なにっ…」
既に拳は構えられているのに、振り上げることが出来ない。
この、背筋が凍るほどに美しい、目の前の魔王の眷属に。
『お天道様とお月様…そう、そうなの?』
お市の視線はふらふらと、あらぬ方向を彷徨う。
『そう、そうね。あの白い羽根を呉れた人は、お月様。貴方がいないと輝けないのに、可哀そうに、堕とされてしまった。恋焦がれた』



お前に。



とても同じ者からとは思えぬ低い、黄泉から蠢くような女の声音が響き、すべての景色が散った。



「――家康様ッッ!!」
腹心の一人がお市に気力を振り絞って斬りかかり、
『ぐあっ!』
と、もう一度この世ならぬそら恐ろしい女の悲鳴が響く。
そしてすべてから目醒めて、家康は呼吸を再開すると同時に、あらん限りの氣を胎に溜め、解き放った。

「――葵の極みッッ!!」

『…ッッひぃいい!!?』
その黄金の氣の眩しさと衝撃、とうとう明け往く曙に、お市がふらふらと倒れこんだ後、しくしくと――泣きながら、目から黒い闇のような涙を流しながら、手を伸ばした。家康に向かって。
『――まささま? 市は ここです …さま?どこ??』
ひらひらと、真っ白な指が舞う。
『ああ。ああ。市も貴方といっしょ。帰れないの。戻りたいのに、戻れないの。ずっと、ずっと一緒にいたかったのに。お傍に居りますと云うたのに。』
「…お…市、殿…」
肩で息をしながら、家康は目を見開いた。
この女は。この女は。
『…ま、さ、ま… にいさま… ごめ んな さ』
しゅううう、と。
朝陽に溶けるように、その影は薄く薄く消えていった。
残るのは、ただ緋色に染まる曼珠沙華と――朽ちた野望の成れの果て。

「家康様っ…ご無事ですか!?」
「――ああ」
ゆっくりと、静かに立ち上がりながら。
家康は昇り来る朝日に向かい合いながら、「大事無い」と、呟いた。
「生き残った者たちを、急ぎ集めて隊を整えてくれ。こんな場所、いくら御天道様が昇ったからって、長居するもんじゃない」
「――はっ!」

ざわざわと、背後で自軍が勝利と夜明けの安堵で士気を取り戻しつつある中、家康は独り、太陽に向き合ってあの夢をなぞっていた。


   夢を見ている。
   今も。
   君がこの血に塗れた手を赦してくれる日が来ることを。
   決して其れはないと、解ってしまった今も。


「…やられたな」
くっ、と自分でも信じられないくらい乾いた笑みを浮かべながら、家康はただ想った。

   白い羽根を、呉れてやったのか。あの女に。
   なあ、三成――

「お前は…どんな夢を見た?」



鳥のような鋭い線の横顔を想いながら。
逆光に向かいながら、呟いた。



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プロフィール

ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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