BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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夏の庭、君の水が沁む。

お久しぶりです!!!!!!

まずは戦煌!6誠にありがとうございました、
新刊お手に取ってくださった方、スペース来てくださった方
すべての絆に感謝を!!!!!

の、御礼さこかつSSでございます…!

新刊『僕らのココロはそう言ってない』の後日談となっておりますので、
設定は置いといてさこかついちゃこらな雰囲気だけでもお楽しみ頂ければ;;

皇もガツガツ遊びつつ、戦煌7のおげんこやっております…
またオンライン更新が滞りそうですが、其の分イベントでいい薄い本出せるよう励みますので、何卒宜しくお願い致します…!!




 さああああ


 畳にやわらかく、文月の雨が響き吸い込まれていく。
 
 いつの間にか眠ってしまっていたようだった。
 気も早くに咲き出した庭の鮮やかな百日紅の花を翠玉のような瞳で捉えながら、勝家はもそり、と半身を起こしひとつ、あくびをした。

 夕餉を共に食した後、左近はゆらゆらと現れた大谷刑部に見つかって、「やれ、ぬしの仕事はまだ終ってはおらぬおらぬ」と首ねっこに数珠を絡まされて犬のように連れて行かれたので。
 ぽつねんと一人置いていかれて、左近の帰りを待っていたのだが。
 少し酒を呑んでいたせいか、いつの間にか寝入ってしまった。ぼんやりする頭のままで、咲き残ったくちなしが恵みの雨で最後の甘くて濃い芳りを漂わせる大坂城は西丸殿の一角、左近の部屋で、勝家は夜の帳の中で夏の雨を見詰めた。
 西丸殿をはじめ、すべての廊下に明るく提灯が灯され、夜でも多くの兵や侍女達が勤めに励んでいるのだろう――噂に聞き及んでいたとうり、此処、大坂覇城は日ノ本の中心足る絢爛豪華さと賑やかさを誇っていた。
 きっと、あのまま豊臣と戦となっても――もしも伊達軍が後ろ盾となって援軍に駆けつけていても、果たして勝ちは掴めただろうか。
 いや、もう過ぎたことだ。
 ふるふると艶やかな蒼い黒髪を揺らしながら、今は己が属する居城の雨の帳に濡れる影を見上げる。
 豊臣に下って直ぐに大坂城内に己の屋敷を与えられて、秀吉から直々に「豊臣と共に新たな日ノ本を築く礎と成れ」と言葉を賜り、大坂の地に入ったが。左近が己を気遣って片時も離れず世話をして食事をするのも眠るのも共にすることに、勝家は安堵と――だが、彼の主である石田三成の怒りを買いはしないかと心配していたのだが。
「そりゃワシでもそうなるさ、嬉しくて仕方ないよな」
 想っている者がようやく傍に来て呉れたのだから。
 そう云ってからからと笑って三成を宥めたのは徳川家康で、「ちなみにワシは佐和山に己の部屋を持っているぞ」とまで云うものだから、三成が怒り心頭して「勝手にそうしたんだろうがッッ!!」と家康を大坂城中追いまわしひと騒ぎになったもので。
 かつて想像していたよりもずっと、この大所帯の軍勢は――いや、変わったのだろう、太陽の権現の帰還と、そして――

「~~~ッッああ~~~~つっかれたぁあああ~~~!!!」

 ずさぁぁっと。
 自分が蒼い黒髪を靡かせて振り向いた瞬間には、膝の上には赤と茶色の明るく派手に逆立てた髪が転がっていた。
「左近」
 彼の名を呼びながら、勝家は其の髪の刈り上げられた赤いほうを梳いた。
 想い人の細く長い指の感触にようやく気が安らいだように、左近は唇に弧を描かせて「疲れたよー勝家ー」と、彼の膝をさすった。
「もーさー刑部さんも三成様もひっでぇよなぁ、俺頭足りない分、戦場で頑張ってるのにさー、“文治にも長けなければ豊臣の重臣とは成れぬ”とか云って、今日もめっちゃ書状整理したよ……うちの軍、超大所帯じゃん!? 兵糧とか各地の兵力の配置とか、武器の調達の為にあれやこれやするだけで一晩じゃ足りないじゃん、そのタメに兵庫助みたいな頭いいヤツいんじゃね? とか思うんだけど、結局俺もやらされるんだよー……」
 一気に捲くし立ててくる左近に苦笑しながら、勝家は「お前の頭は足りなくなどない」と答えた。
 左近がはっとするように、彼の翠玉のような瞳を見上げる。
「……なんで、そう思うの?」
 俺、いつも考えなしで突っ走っちゃうよ。
 ふいに真剣に問うてくるまだどこか幼ささを残す者に向かい、勝家は黒い睫を伏せながら。
「かつて、我が北ノ庄城を見事に制してみせたのは、お前の率いる左近隊だ。もちろん副隊長殿と家臣達の活躍もあっただろうが、戦場で先頭を切り、的確に兵らを進めたのはお前だと私は知っている」
 勝家の言葉に、左近は息を止めて彼の瞳を改めて見詰め返した。
「……あんたさぁ」
 左近は彼の膝で頭を上に向けながら。
「あんたもさ、やっぱ大将だよ。ちゃんと見ててくれたんだな」
 そう云って、へへ、と無邪気に笑う者の頭を撫でながら。
 勝家は苦く笑いながら、何も云わずに開けた縁側から夏の雨に濡れる大坂城を見上げた。
「……雨の夜なのに、此処は明るいのだな」
 月が暗く分厚い雨雲に隠された夜でも、この城はそこらじゅうにある灯りで昼のように人が動き、明るかった。
「安土の城も其れは見事であったし城下も夜でも昼のようであったが、此処も同じ……豊臣が天下を狙う勢いであること、疑う余地はない……」
「うん、ほんと凄いよな。毎晩こんなに明るいんだぜ」
 西丸殿からも見上げられる程に高い天守閣、それにこの回廊も周りの間にも、未だ人の行き来する気配がして。
「堺の港を拠点に、南蛮からの強力な武器や珍しい交易品が届く。堺の商人衆を庇護する代わりに、秀吉様はそれらを日ノ本で売りさばく権利を手中にしてる。まあ、その策も半兵衛様が……うん、あの人は本当にたくさんのモノを秀吉様の、三成様の為に遺して逝ったよ。だから、俺らはなんとしてもその大志を現(うつつ)にしなくちゃいけない」
 そう語りながら柑子色の切れ長の瞳を細める左近の表情は、しかと一軍を担う将そのもので、勝家は思わず息を呑んで見入った。
 だが次の瞬間にはまた子犬のように無邪気に笑って。
「ね、豊臣に来てよかったっしょ?」
 豊臣は、きっと足利も前田も伊達も制して、天下統一を成し遂げる。
 そう続けた左近の赤い髪を指で梳きながら――ふふ、と。
 そういえば、まだ告げていなかった大切なこと。
 雨の帳が隠してくれているから、そっと打ち明けてみた。
「……豊臣、ではない」
 ひゅ、と。
 今度は左近が息を呑んだ。
「私はお前の傍へ来たかった」
 勝家の静かな告白に、左近の瞳が見開かれて。
「私はお前の傍へ来たかった。すべての柵(しがらみ)を、差し伸べられた温もりを振り切ってでも。お前の顔がいつでも見たい、お前の温もりを、匂いを、くちびるを感じていたい」
 あの日、あの時。
「お前が私のタメに泣いた、あの泪が政宗殿とお前への想いで捻れて絡まって身動き出来なくなっていた私の心に、乾いた地面に降り注ぐ雨のように沁みた。嗚呼、なんて愚かだったんだろう、お前は私のタメにこんなにもみっともなく泣いて呉れるのに、私はお前から、自分の想いからさえも目を逸らして逃げ出そうとしていただけだったんだ、と」
 彼の紡ぐ言の葉に、左近はゆっくりと横たえていた身を起こして勝家に向き合った。
「……かついえ」
 呼ばれて、彼は微笑んだ。
「本当に。私は狂ってしまったのだと想う。かつてお市様に恋焦がれた、そう、あの想いなど小供の飯事のような憧れに過ぎなかったのだと。本当の恋とは、己の身分立場、絆さえどうでもよく引き千切って掻き抱く激しい夏の夜の雨の如くで」
 私は。
 静かに彼の冷たく長い指が、彼の頬を撫でる。
「お前に抱かれるタメに、凡てを懸けてしまった」
 そう云いながら、彼が余りに無邪気に微笑むものだから。
 左近は流れるように彼を抱き締めくちづけた。
 
 くちびるだけを食んで、なぞるように何度も小鳥のように啄んで。
 ちゅ、ちゅと吸われる音も雨が隠してくれるから、今はもう拒むまい。

 酷くやわくてやさしいくちづけの後。

 顔を離してそっと、今度は左近が勝家に告げた。
「あんたは俺の光だよ」
「――私が、ひか、り?」
「あんたが俺を照らしてくれたから」
 さらさらと、絹の糸のようになめらかで細い彼の黒髪をおおきなてのひらで撫でて掬いあげながら、彼は続けた。
「そのきらきらひかる、翠のひかりで俺を照らしてくれたから。俺は過去もしがらみもなにもかも引き千切って、未来を掴みたいって想えたんだ」
 俺だけの、翠玉の太陽だ。
 其の告白に、勝家は彼の手に頬を摺り寄せながら、苦しそうに微笑んだ。
「石田氏では、なく? お前の未来を照らしたのは彼の人ではなかったのか」
「ああっ!? え、えっと、うん、もちろん三成様もそう……っていうか。あの人は、“示して”くれたのかな。命の張り方を、さ。でも勝家は……」
 そっと両手で人形のように白く美しい彼の頬を両手で包み込みながら、左近はいたずらっぽく笑って。
「ほら、志と恋は、またベツモノっていうか」
「うつけ」
 思わず苦笑しながら、勝家もまた諦めたように笑んで。
「――俺は、必ず勝つよ。豊臣の左腕に近し者としても、あんたの想い人としても」

 竜さんが勝家取り返しに来ても、絶対もう返さない。

 左近の宣言に、意外や勝家が挑むように不敵に笑んで。
「案ずるな。政宗殿と対峙するのは私でいい。貴方のお陰でひとりで立てるように、己で選んで戦えるように成れたのだと示さねば申し訳が立たないからな」
「ええー……」
 驚く左近からするりと身を剥がすと、「己の寝所に戻る。せっかく覇王殿に与えて貰った場所なのに、私ときたら――」

 いつもお前の寝所で
 
 そう云って立ち上がろうとした彼の細い手首をぐい、と。
 彼はいつものように強く恋慕を込めて掴んで今一度抱き寄せて。
「いやいやいや」
 自分の肩に顔を埋めて「ううん」と不服そうに唸る想い人の腰に腕を絡ませながら、左近は白い耳にそっとくちびるを寄せて。
「夏の夜は長いよ」
 もう少し、あと少し。
「お前の少しは……」
 夜明けまでになる。

 そう云って左近の顔を見上げたけれど、次の瞬間にはくちびるで言葉は遮られ、耳にはざああああ、と強くなった雨音だけが。
 
 此処に居てよ、と希うひとの腕が、指が、やさしく己を絡め獲るので。
 勝家はしっとりと湿る熱のまま「奥で」と、翠玉の眼を潤ませて彼のくちびるを噛んだ。



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Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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