BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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番い風

いつもご来訪&拍手ありがとうございます…!!
久々の新作小説です。イエス、さこかつイエス。

舞バサを!!!観にいきたいけどナゴヤ一番最後だから!!!!!
自家発電してみました…藤田勝家ふつくしい…

時間軸は、『月白の羽根~』と、戦煌!5で出しました新刊、『転がる賽~』の中間地点。
戦煌5ありがとうございました!!の感謝も込めまして御座いますれば。

今回ざねざね(成実)も出せたよー
勝家ワッショイする伊達軍な噺も描きたいけど、まずはこちら宜しくお願い致します。




「喜多殿」
 穏かな初夏の始まりの昼下がり、縁側が望める間で小十郎や政宗、成実の衣を仕立てていた喜多の前に、涼やかな百群色の小袖、百入茶色の軽衫に脚絆を身に着けた勝家が、胸元に小さな箱を抱えて現れた。
「あら勝家さん」
 顔を上げて針を休めると、喜多は「どうなすったの」と、政宗が連れてきた物静かな青年に向かい問うた。
「あの」
 相変わらず、遠慮がちに切り揃えられた前髪に瞳を隠しながらも、彼は請うた。
「衣に香を焚き染める道具を一式、貸して頂けぬだろうか」
 其の申し出に「まあ」と喜多は驚いた。
「ええ、もちろんよいですけれど……まあ、香ですか。貴方持っていらっしゃるの?」
 この時代、香は特権階級の者達に許された高価な嗜好品だ。着の身着のままで奥州は青葉城に連れてこられた勝家が、どうしてそんなものを持っている、と思えようか。
 喜多の問いに、勝家は
「あ、はい。持って……おります故」
 翠玉のような瞳を見開かせ、視線を泳がせたので。
 ふぅん、と喜多が不思議そうに小首を傾げ、そして彼女は見つけた――彼がとても大事そうに抱える小箱。
「――左近さんからですか?」
 問われれば、耳までさっと紅く成る青年の白磁の頬に、思わず喜多は見入った。
「あ……っ! いや、その……」
 慌てて胸に想い人からの贈り物を抱きなおすいじらしさに、喜多は「ふふ」とそれ以上は何も訊かずに笑って。
「まあまあ、素敵なモノを頂いたこと」
 次の逢瀬にはきちんと衣から匂わせてあげなくてはね、と云いながら喜多は立ち上がり奥の間へと続く襖を開けた。



 喜多から貸して貰った道具を組み立てて、連子のようにした木の枠組みに己の着物を被せ、香を焚くための陶器の器を引き寄せた後、贈られた――桐の小箱をそっと開けて、勝家は「これ、は」と息を呑んだ。
 ふわり、焚く前から馨る匂いは――かつて、信長の傍で嗅いだものに近く感じたから。
「まさか……」
 小箱に添えられていた小さな紙を開いて読んでみれば、矢張り。明よりも遥か南国から渡来した由緒正しき伽羅であると綴られていたので「また高価なモノを……」と、勝家は困ったように眉を潜めて。
 こんな贈り物なくとも、あの笑顔、笑い声、そっと、でも強く抱き締めてくれる腕のぬくもりだけで充分なのに。
 どれだけ其れを言の葉や文で伝えて「自分のタメに使うように」と云っても、想い人はせっせせっせと己にこうして、身に余るような高価な贈り物――しかもそれが、いちいち自分の好みにぴったり合う嬉しいモノ――を捧げ続けて呉れる。
「左近……」
 呆れたように、だが心からいとおしく。
 想い人の名を呟きながら、勝家は線香に火をつけて、続けて小さく割った香木に灯した。程なくして、言葉にし難いえもいわれぬ高貴な馨りが漂って、そっと香炉を衣を被せた連木の下に忍ばせて。
 今度逢う時は必ずこれを着なくては、しかしこんな高貴な馨り、己に似あってくれるだろうか、左近は気に入ってくれるだろうか――そんなことを立ち上る細い煙を眺めながら考えていたら。

「――What?」

 気付いたら、この城の主――そして今の己の庇護者である伊達政宗が、袴姿で部屋の入り口に立っていて。
「ま、政宗殿!?」
 慌てて彼に向き直り、頭を垂れる。
 かつては「伊達氏」と呼んでいたひとは、「だからいちいち畏まるなって。此処はもうアンタの寝床なんだぜ」と云いながら、部屋に一歩踏み入り勝家の後ろにある衣に香を焚き染める連木を一瞥した後――
「この馨り……伽羅だと……?」
 鋭い竜の眼を見開きながら、政宗がhumm、と質素な香呂から場違いな程に艶やかでやわらかな煙が立ち昇るのを見遣って。
「おい勝家、誰から贈られた」
「――え」
「幾ら喜多でも、さすがにこんな高価なモン持ってないだろう。小十郎に香を嗜む趣味はねぇし……」
「あ、あの」
 答えられずにしどろもどろ、そして頬を微かに染める彼の様子に政宗は察して
「Bad boy!!」
 そう小さく苦く叫ぶと、大袈裟に顔を顰めながら呆れたように続けた。
「やっぱりアイツからか! しかも相当な上物じゃねぇか。こんなの今時、堺の商人くらいにしか手に入れられないだろう。Kid,どこでこんな智恵つけやがった」
「ま、政宗殿」
 縋るように見上げてくる翠玉の眼に「あれを悪く云わないで欲しい」と書いてあったので、政宗の機嫌は“bad”を通り越して“sad”になってきた。
「……その数珠も、アイツからのpresentか?」
「――ッッ」
 おもわず己の左手首に絡まる、煙を燻した様な水晶の連なった数珠に手をかけ握り締めながら、勝家の頬が染まった。
「あと、あそこにある……“日ノ本妖怪大全網羅蒐”……? アレもあのbad boyからか……」
 hmmmmと再び難しそうに鼻を鳴らしながら、政宗は続けた。
「アレだな、ほんっっと分かりやすいっつーか」

 番う鳥みてぇだな

 政宗の云うことに、勝家が思わず顔を上げた。
「せっせとご苦労なこった、ま……」

 そんなけ首っ丈、てコトか、boy

「アンタに気に入られようとまぁ、必死なこった。で、肝心のアンタはどうなんだ」
 竜の隻眼に急に問われて、勝家が「わ、私……ですか?」とたじろいだ。
「その気がないなら無いってハッキリ云ってやらねぇと。Escalateするばっかだぜ、このpresent攻撃」
 所々の単語の意味は相変わらず解らなかったが――政宗の云わんとする処はなんとか察した勝家は――
「――私の、ような者に」
 こくん、と。
 ひとつ息を呑んだ後。彼は静かな決意を秘めた翠玉の眼差しで、己の庇護者に向けて確かな声音で告げた。
「このように……たくさんの贈り物……」
 贈られた数珠に右手を添えながら、面映く、そう、コレはもう認めるしかない熱だから。
「……とても嬉しくて……」
 蒼い黒髪をさらさらと鳴らしながら俯く其の姿に、政宗は「……O.K. O.key……」と、バリバリと髪を掻きながら何度目かの溜め息を吐いた。
「アンタがそうならいいんだ」
「ま、まさむね」
 殿、と続けて顔を上げた先には踵を返す姿があって。
 ひらひらと右手を振りながら、何処か寂しげに回廊の向こうへ姿を消す政宗を呆気にとられて見送りながら。勝家は今の言の葉はどういう意味だろうと思案したが――
「……」
 許してくれたのだ。
 そう解ると、勝家は己をこうして傍に置いて大切にしてくれる伊達家の筆頭へ一体どうやって感謝を表せばいいのだろうと。
 深く深く息を吐いて、織田に居た頃とは比べ物にならないぬくもりに身を震わせて、思わず泪を浮かべた其の時――

「おう、勝坊」

 政宗と入れ替わりに現れたのは、彼の従兄弟で伊達軍一角を任されている、成実で。
「し、成実殿?」
 慌てて泪をぱっと払うと、勝家は居を正して彼に向かい頭を垂れた。
「だからさ、そんな畏まらなくていいってんだろ」
 いつになったら慣れるんだよ、と政宗と同じことを云いながら、肩までの黒い髪を揺らしながら。成実は勝家に向かって文を差し出した。
「アンタにだぜ」
「えっ?」
「大丈夫、中を覗いてなんかしてねぇよ」
 意味ありげに目配せをしながら、成実はクク、と面頬の下で愉しそうに笑った。
「まあ、梵が妬かない程度にな。アイツさ、アンタのコト、ほんとの弟みたいにカワイイみたいだからよ。その弟についた虫がよりによってあの凶王の左腕ときちゃ――」
「し、成実殿!?」
 慌てて彼から文を奪い取ると、勝家が珍しく声を荒げて「中身を読まれたのではないのですか!?」と、耳まで真っ赤になりながら問うてくるので。
「読んでねぇって!!」
 愉しそうにクック、と笑いながら成実は両手を上げた。
「俺は梵みたいに野暮じゃねえぜ、人の恋路を邪魔するヤツぁ、馬に蹴られて死んじまうのがオチってもんだしな!」
 じゃあな、安心してゆっくり読んでくれ、と続けながら。
 猛々しい昇り竜を刺繍した“特攻”陣羽織を靡かせながら、成実もまた去っていったので。
 勝家は「~~~~……」と熱い頬を収められずに、だが我慢も出来ずにぴしゃり、と障子を閉じて、震える手で文を開いた。


   柴田勝家殿
   貴殿、ご健勝であらせられること候へば
   此方も変わりなく


 文になると、万が一政宗などに中身を検分された時に怪しまれないタメにか、彼は不相応な畏まった言葉を連ねてくる。
 それとも、己も曲りなりにも豊臣の筆頭家臣である、という自負なのだろうか。
 しかと一軍の将としての風格を匂わせる固い文面に、勝家はいつも自分に見せているのと違う左近の顔を見て、其処にもまた惹かれている自分に呆れながら文を読む。


   先日贈った香は御気に召されたか
   またの逢瀬には
   きっと 貴殿の衣から其れを確かめられること
   只想い候へば
   我が心 どう縛ろうとも
   只君を慕い 旋風吹かば君かと想い
   ただ さびしい


「……さこん……」
 急にひらがなになり、想いを綴るひとの様が、目に浮ぶようで。
 勝家もまた、「さびしい」と想う。
 つむじかぜふけば、君がいるんじゃないかと、振り返ってしまうくらいにさびしいと。


   このあいだは乱暴にしてごめん
   痛く辛くしてたらごめん


「ッッ!」
 急に伽のことを赤裸々に綴りだすのはやめてほしい、と思わず赤面しながらも先を読む。


   でも あんたのコトすっげえ好きだから つい
   赦して欲しい


 乱れるような筆の後に、彼の想いの激しさが窺えるので、勝家は思わず文を強く握り締めて皺を作ってしまう。
 普段はあんなにも優しいのに、時折酷く昂って想いをぶつけてくるひと。
 己には出来ない熱の込めように、どう応えればいいかわからなくなるほどに。


   あんたの綺麗な顔が乱れると 押さえがきかなくなる
   それでも笑ってくれると ほんとにどうしても
   ごめん
   お詫びにならないかもだけど こないだ堺で手に入れた香
   勝家の雰囲気にきっと合うと想う
   気に入らなかったらごめんな


「そんな……」
 気に入らないワケない。
 想う人よ。
 君が贈ってくれるものは、たとえただの木の枝でも嬉しいのに。


   其の香を身に着けたあんたに逢うタメに
   きっと何度でも生き抜いてみせる
   必ずまた 逢いに往く
 
   想い人 どうか 貴殿にも賽の目が武運を運ばんことを
   心から 我が心から深く想う
   君がいとおしい
   旋風吹くたびに いつも想っているから



 文を読み終えて、肩を震わせながら深く息を吐き、勝家は瞳を閉じる。
 瞼の裏には君の笑顔。
 二重の切れ長の、柑子色の明るい瞳が真っ直ぐに己の翠玉色の瞳を射抜く。
 此処にいない今も。
「……お前にも」
 お前にも、どうか武運を。そして。
「私も……」
 きっと、生き抜こうと。
 織田での不遇、かつて想ったひと、すべてを乗り越えて此処まで生き抜いているのだから。
 伊達の人々のあたたかな眼差し、与えられた新たな居場所、そして――

 何よりも今、君が居てくれる。

「……私、も」

 旋風吹くたびに、君を想う。いとおしい、と心から希おう。

 彼が「異国の宝玉みたいだ」と愛でるエメラルド色の眼を輝かせながら。勝家は静かに立ち上がって床の間の文机に向かうと、前に彼から贈られた翡翠のペンと南蛮のインクを取り出して、文をしたためるための真っ白で上質な紙の束を、滑るように細い指で、弾ける想いのまま転がした。


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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