BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

月白の羽根、水面の翠玉。 Ⅱ

週一ペースで細かく分けることにしました、の
半兵衛様ドラマED後の、家三ベース+さこかつ小噺、第二話です。

今回は左近が“清興”だった頃のお噺。
なので、史実エピソードベースの ね つ ぞ う だ。す。


それでも「いいから早く萌えシーン持ってこい」な御方は
広いお心と拍手でお迎えください…ッッ!!

松永+三好は名前出すだけでも楽しかったです(真顔



オマケで松倉“右近”重信。
右近プロト




 夢を視た。
 遠いような、近いような、未だ“左腕に近し”モノでなかった頃の夢。
“清興”と云う名を頂いていた、ほんの少年だった頃の夢を。



 いつものように若い博打仲間と、筒井城下町の大通りを賑やかしくしゃべくりながら闊歩していた時だった。
 最初に目に飛び込んできたのは、先頭を颯爽と白馬に跨り進んでくる――きらきらと、七色のような、黒のような――硬質な、玉虫色の甲冑を纏った歳若い武者で。
 その後ろに、織田木瓜の旗と、その若武者のものなのだろうか。“阿吽”の口をした二つ雁金の旗印、近代的な南蛮具足を纏った侍達が列を成して進んできていて、皆「おお」「どこの軍のお侍だ?」「なんとまあ、立派な……」とひそひそと話しながら、畏れ入るように道を空けていた。
 ので、清興達もつられるように、道の端に下がったが。
 派手な髪色と腰に差した二刀に気付いたのか、先頭の――玉虫色の甲冑に身を包んだ若武者が、一瞬、己に視線を落としたので。
 清興の明るい柑子色の瞳と、其の武者の――きらり、其れは一瞬射し込んだ陽光で、まるで深緑の宝玉のように硬く冷たく――の瞳がかち合った。
 
 ――うわ
 
 一瞬。ほんの一瞬ではあったが、兜の下の白くて細い面が、女人のように艶かしくどこか儚げな――そう、彼は美しかった。しかも、とびきりに。
 歳は己と同じ位だろうか、顎までの短さに切り揃えられた蒼い黒髪は絹糸のようにさらさらと彼の色の白さを引き立て、不思議な色合いの深緑の眼は豊かな睫に縁取られていて。
 息を呑んで凝視してきた清興に向かい、一瞬だけ不思議そうに整った唇を開いた若武者だったが、すぐに前に向き直り、足取りを止めず筒井城へと歩を進めた。
「おい、なんだ? あいつら……」
 横に居た仲間のひとりがいぶしかむように呟くと、「あれ、織田木瓜だよなぁ?」「まさか、尾張と此処はそれなりに距離が……」「城に向ってるけど」と騒々しく捲くし立てたが。
 清興は無言で息を呑んだまま、遠くなっていく玉虫色の甲冑を見詰めていた。
「おい、清興……」
「んん!!?」
 仲間のひとりに肩を揺さぶられて、やっと我にかえる。
「おい、あいつら城に向ってるぜ? お前、右近様から何も聞かされ……って! 右近様!?」
「おう、お前らまたつるんで鉄火場か」
 右近様、と呼ばれた――派手な着物の上から軽装の甲冑を身につけた、目の細い若者――が、いつの間にか清興の横に立っていたので、「う、右近!?」と彼も驚いて思わず後去った。
「おま、もーそうやって気配消してくんなって! ビビんじゃん!!」
「はっはっはっ」
 武芸者だからな、俺は、と笑いながら。それから、右近――筒井家が重臣、松倉“右近”重信は――清興が率いる、筒井家の若き兵らに告げた。
「今の軍の先頭を切っていたのは、織田軍筆頭家臣、柴田勝家殿。まだお若いが、織田家重臣・明智光秀殿の使い番として参られた。これから城で順慶様と謁見だ。俺の仕事はあの若いのを送り届けるトコまで」
 それから「またこんな処で油を売りおって」と、清興を睨みつける。
「う、ちがっ違うって右近、俺は少しでも三好家方の情報をそこいらから……って、なんでまた、あの……柴田勝家? さん? こんな大和にまで……」
 まさか、織田は既に、と云いかけた清興に向かい、
「いや、その逆だ。なんでも明智光秀からの打診で、順慶様を取り立て、大和での所領を約束してくれるそうだ」
「何?」
 つまり。
「ってことは、あの梟野郎と三好長慶と三人衆と……やっと決着をつけて、順慶様が大和を統べられるってことか?」
「まあ、そう上手くいくかどうかは分からないが……」
 右近は細い瞳を更に糸のように細めながら、きらきらと玉虫色に光る南蛮甲冑に身を包んだ若武者の向こうにある、尾張――うつけの魔王の影を、睨みつけるように。
「少なくとも、今の筒井家の脆弱な戦力では梟の動き次第で足利将軍家からも何とされるか分かったモンじゃない。たとえ成り上がりの田舎侍連中でも、“力”を持っているなら利用されるフリして利用させてもらうまでだ」
 右近の相変わらずの的確で穎敏な知略に、清興はこの年上の青年の横に並ぶ資格は己にあるのだろうか、と自信を失くしてしまう。
 しゅん、とした清興に気付いたのか、右近は急に困ったように「フフ」と笑うと
「なぁに、小難しいコトは俺に任せておけ。お前にはお前にしか出来ないコトがあるさ」
 少なくとも、俺はあんな風に賽は振れない。
 右近の言葉に、「……へ?」とまだまだあどけない顔をする清興に向かい、右近はひとつ微笑みながら頷くと
「お前の賭けは、いつも奇跡的な出目をやらかしてくれるだろう? 俺にはああいう器用さは無いらしい、そこら辺はお前に期待してる」
「……右近……」
「さ、道草喰っちまったな! 柴田殿に追いつかないと」
 そう云って足早に去っていく右近の背中に。思わず「待て、俺も行く!」と。
 続いたのが、始まりの日だったのだと。



 未だ幼いものの、叔父である筒井順政と共に――筒井順慶は家督を背負う者として、織田からの同盟の約束を受け取った。
「遠路はるばる、ご苦労であった」
 齢、十に届くか否かの幼い筒井家当主である順慶は、まだあどけない声音で己に頭を垂れる、織田からの使い番の若武者に労いの言葉をかけた。
「明智光秀殿のご援助、わたしもとても頼もしく思っている」
「はっ。有り難きお言葉。必ずや、光秀様と信長公にお伝え致しまする」
 傅く若武者、柴田勝家の声音は、まるで竹林に吹く清か風の囁きのように、順慶の横に控える清興の耳に響いた。
  
 あいつ――声まであんなにキレイなんだ。
 
 右近について久々の登城となったが、叔父である順政はともかく、主である順慶は「清興、ひさしいな!」と嬉しそうに笑ってくれたので、そのまま許されて此処に居る。
「其の書状にもありますように、我ら織田家は筒井家のお力に成りたく候」
「――正確には、明智が、ではなかろうか」
 ふいに順慶の後ろに控える後見人の順政の言葉に、勝家が陶磁器のような白い顔をあげた。
「いえ」
 はっきりと。勝家は云い切った。
「織田が、で御座います。今の足利将軍家……室町幕府は最早三好家の傀儡。未だお若い将軍を良いように操るばかりか、家臣の松永弾正久秀は、三好三人衆と共に京を席捲し……此処大和の地まで、代々の守護代である筒井家を押し退け我が物顔……彼の地の乱れ、信長様も心から案じておる故、此度光秀様は筒井家にお力添えすることを望まれたのです」
 流れるように紡がれる勝家の言葉に、幼い順慶の頬に嬉しげな笑みが宿り、順政もさすがに「……ううむ」と唸るしかなかった。
「順政様は用心深くなっておられるのだ」
 右近が、隣の清興にだけ聴こえるように耳打ちした。
「まあ、松永が、足利将軍家が我らにしてきた仕打ちを思えば当然だ。ここで判断を誤れば、筒井家は滅びる」
 滅びる、という単語に、まだ少年である清興も思わず右近のほうを見やって目を瞠った。
「――ココが正念場だ」
 弟分であり、己の相棒でもある少年に向かい、右近は続けた。
「織田が本物の風雲児であるか、我らが見極めねば、順慶様も――」
「右近、ソレって……」
 声を潜めて問う清興に向かい、右近はひとつ。不敵に口の端を吊り上げた後――
「――いや、誠有り難い申し出に御座いますな」
 と。
 声を張り上げ主と、其の前に控える柴田勝家に向かって。
「だが、織田の勢い、強さ……我らは風の便り程度にしか知らぬのです」
「……それは」
 右近のほうに向かい直りながら、柴田勝家の濃い深緑の瞳が前髪の下で静かに光った。
「どういう意味で御座ろうか」
「知らぬ、のです。我らは、織田軍勢が本当に足利将軍家、そして三好家を倒し得る勢いなのかを」
 相変わらず愛想のよい笑みを浮かべながら続けるものの、右近の瞳は挑むように強い光が潜んでいて。
「是非示して頂きたい。そう、柴田殿、貴殿も織田軍の尖兵として大変な武功を上げられているとか。そのお歳で。なれば是非、この“筒井の右近”と称される拙者に、腕前の程見せては頂けぬか」
 右近の言葉の意味を察すると、今まで人形のように整って静かだった勝家の顔に――はっきりと、挑むような若武者らしい血色が宿り。
「私は一向に構いませぬ」
 そう答え、二重の美しい瞳を細め、勝家は正面に座する筒井の幼き棟梁に問うた。
「しかし、此処は筒井順慶様の御領に御座います。主の了解なければ、私も刃を抜くことが出来ません」
 突然のことに幼い順慶は戸惑い叔父の順政の顔を見上げ、順政もまた「う、うむ、これは……」と言葉を詰まらせて。ざわつく場を決したのは、若き清興の「いいんじゃないッスかね?」と云う言葉だった。
「俺ら、これから織田家と一緒に三好と将軍家に対抗してかなきゃ、でしょ? だったら……こっちの強さも、そこの柴田勝家さんに見てもらっておいて、損はないっしょ!」
 ぱぁん、と膝を打ってまるで「さあ、張った張った」とでも云う清興の挑むような瞳に、幼き順慶も「……清興の云うこと、一理あると思います。叔父上、いかがでしょうか」と云うものだから。「……順慶様がそう仰られるならば……」と迷いながらも承知したので、謁見の間からすぐ横の庭に右近と柴田勝家は降り立って、手合わせは始まった――


 両者は互いに獲物を構えたまま、微動だにせず長いようで短い刻が流れた。
 動けないのか。
 清興も庭に降り立ち、息を呑んで両者の闘氣がぶつかり合うのを確かに見据えて。
 右近は清興の双刃の師でもあった。
 軽装に攻撃に特化した双刃という戦い方は、一気に敵を葬るを信条とする、素早さを得意とする戦い方であったが――相手は、その一手を打たせぬ隙の無い構えと眼光で――両端に刃を仕込んだ、逆刃薙を構え、まるで誘うような、それでいて動くことを赦さぬような凄まじい闘氣を放っていた。
 右近は両腰に差した双刃の柄に手をかけたまま――抜く瞬間を見出せず――己よりも若いハズであろう、目の前の玉虫色の甲冑に身を包んだ若者の双眸を睨みつけていたが。
 
 強い――!

 己も、筒井家の重臣としてそれなりの腕前を誇る武芸者である、という自負はあった筈なのに。
 目の前の織田家の若き尖兵は、想像以上の手練であった。
 まったく隙の無い構えに、どう切り込むべきかと右近の顎から一筋、冷や汗が流れ落ちた時。
 先に動いたのは、柴田勝家だった。
「――定めの螺旋よ!!」
 そう小さく叫びながら、あんなにも長く重いであろう逆刃薙を円と回しながら、勝家は旋風のように右近に向かい斬りこんだ。
「――ッッ!!!」
 辛うじて抜いた双刃でソレを防ぐと、タンッ……と右近は軽やかに後方に宙返りした後、「――シッッ!!」と左右に揺れながら素早い剣戟を繰り出した。
 キンキンッッと刃のかち合う音が響いて、柴田勝家は右近の剣戟を受け止めながら――兜の下の黒絹の髪を揺らしながら。深い緑の眼を見開き、仕返しに「ふっ!」と数手、右近を試すかのように斬撃を放ち。
 ソレを身軽にかわしながら――右近は勝家が逆刃薙を振り上げた一瞬の隙を見計らったかのように、鋭い蹴りを彼の鳩尾に繰り出した。
「……ッッ!!」
 ザザッ、と。
 右近の重い蹴りは勝家の身体を吹き飛ばすには至らなかったものの、膝をつかすくらいの威力で。
「――よっしゃ!!」
 師匠の会心の一撃に、思わず清興が両手を拳にして握り締めた。
 弟分の声に後押しされたように、右近が膝をついたまま動けずにいる勝家に向かい、風のように踏み込み、今度は抜き放った双刃で素早く斬りかかった瞬間。
 残像のように、光は動いた。
 右近の決して遅くは無い、むしろかわし難い剣筋を見切って、柴田勝家は音も無く残像を生みながら其の身を滑らせて――「頂く」と静かに呟くと――逆刃薙を繰り、翠玉のような光の軌跡を無数に生み出した。
「――無力の相対ッッ!!」
 キンキンと鋭い空気を切り裂く音が響いて、右近の周りを翠の切層が取り囲んだ。
 幾何学を、記号をそのまま美しい翠の透明な甲虫の殻にしたような――風を可視化したかのような光の軌跡。

 ――なんだ、アレ

 周りの時間が一瞬、酷くゆっくり流れていくような感覚を覚えながら。自分の師匠がまともにソレを喰らい、後方に吹き飛ばされたというのに。
 清興の視界を、思考を支配していたのは、柴田勝家の放つ透明な翠の旋戟と。玉虫色の甲冑をきらきら乱反射させながら、風のように軽やかに動き、微かな笑みさえ浮かべる姿で。

 綺麗すぎんだろ……

 思わず呟いた次の瞬間だった。
勝家はその場でくるり。まるで舞を舞うかのように――長い薙刀をくるくると美しく回して――刃は、円と成る翠の風の切層を生み出して。鋭い鎌鼬の様に、右近に向かって疾った。
「――が……っっ!!?」
 其の風をまともに喰らい、身体中に細く赤い筋を作った右近の姿を見とめると、清興は「――右近ッッ!!」と叫んで両者の間に立ち塞がった。
「そ、そこまで!」
 慌てて順政が上の座から身を乗り出し、両者を制した。
「……すごい……!」
 幼い順慶ですら、今目の前で起こった死合いをしかと小さな胸に受け止めて。
「……コレ、は……」
 よろり、と立ち上がる右近に清興が駆け寄り「大丈夫か!?」と手を添えて助け上げた。
「……ッッ……お見事……」
 悔しさを、だがそれと同時に微笑を浮かべながらなんとか立ち上がる右近の姿に、柴田勝家は「……アレを喰らって、まだ意識を保つか」と逆に微かな驚きを浮かべた。
「……使い番である貴殿でさえこの腕前……織田軍の揃えるつわもの、如何なモノか……」
 右近は痛む腕を擦りながら、幼き棟梁と其の叔父に向かい頷いた。
「間違いはありませぬ。我らの運命、織田の方々に賭ける価値はありましょう」
 右近の言葉に、幼き順慶は「うむ。両者とも、みごとな腕前であった……!」と答え、勝家の背後に控える織田軍の兵らは当然だ、と云うように微動だにしなかった。
 そして――
 柴田勝家の強さ、技は、その美しさは――清興の心に深く刻み込まれて。
 静かに筒井順慶に向けて頭を垂れて畏まる其の姿も、何かの絵物語から出てきたかのように美しく。
 柑子色の眼に刻み込まれた。
 始まりの日だったのだと。
 島清興の心に、其の日は鮮やかに刻み込まれた。
 柴田勝家という男の姿を、技を、強さを――そして、なによりも美しいこと。
 心奪われた始まりの、出逢いの日。
 




 そうして筒井家と織田家との同盟は成され、筒井家の家臣たちは誰もが「此処から松永への反撃を」と、沈みかけた希望を再び抱いたのに。

 大和と尾張は、矢張り遠かった。
 あの日。
 のうのうと、と今でも想う――名を捨てて、新たに手に入れて、三成に命を預けた今も。
 結局あの梟のもたらした悪夢の夜は、忘れることは出来ないらしい。

 織田との同盟が成立して数日後、それを知ったかのように突然現れた松永久秀と三好三人衆の手勢によって――織田への援軍を求める暇も与えられず、筒井城下は業火に呑まれ、幼い棟梁を守ることも出来ず、相棒であった右近さえも救うことも出来ずに。
 逃げ延びて、生きながらえてしまった、幼い夜。





 目を開けば、其処は見慣れない天上と、ソレに手を伸ばす――己に「……夢……」と。掠れた声音で呟きながら、小鳥たちが朝にさえずるのをぼんやりと聞きながら。そして――頬に涙の流れた後を感じて、“清興”だった青年は――力なく己の手を、見詰めた。
「…………」
 何故。今頃。
「……あんな、夢……」
 障子を通して射し込む朝の光が、お前は生き延びたのだと。今も思い知らすことに、左近は酷く苦い感触が口の中に広がるのを感じた。



                                              to be next...

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

最新記事

最新トラックバック

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。