BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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Fallin', from deep in my Heart.

石田じゃなくてごめんなさい、
松永×三好長兄の現パロ出来上がりました…
今までゲーム+史実ベースで書いてたので、現パロむずかしうござった…!!
あ、すくばさは別腹なので。
今までの松永×三好長兄小噺読んでないとちょっと設定が「??」なブツではございますが、
楽しんで頂けたら幸いです……

現代・松永芸大教授と芸大院生・長逸のSS.
松永教授は、バツ2くらいで子持ちってなってます。

タイトルは「積みて恋ふらく、我が心から」を勝手に英訳・意訳しました。


 再会したのは小さなアトリエ兼ギャラリーで、だった。



 知人の日本画学科教授が弟子たちのグループ展を開くと言うので、たまたま時間が開いたので足を運んだ。
 非常に色彩感覚に富んだ弟子がひとり出来た、と語る知人と、やれ不況で生徒も授業料と画材費で大変だ、とか、この間のクリムト展を見た、浮世絵の影響力は矢張り大きかっただろう、とか雑談した後。
 ふいに目に入ったのは、ラピスラズリの蒼がふんだんに使われた、美しい月夜を描いた小さな絵で。
 コレは誰が描いたのか、と横にある作者名のプレートを見た時――息が止まったのを今でもはっきり覚えている。
 次の瞬間、小さなアトリエの炊事室から姿を現した――彼はシンプルな白いシャツに、あちこち絵具で汚れたタイトなジーンズで――今生でも変わらぬ、長く艶の有る緑の黒髪を結い上げてうなじを晒して現れた、若者と。
 目が合った瞬間、蒼い月夜を描いた青年は焦茶色の瞳を見開き、息を止め。
 ぼろぼろと泪を零しながら踵を返そうとしたので、その腕を思わず掴んで
「お前なのか?」
 と。
 問いかけてまた巡る、なんとも業深い縁であった。





 最初、彼は頑なに彼を拒んだ。
 どうか、もう放っておいて欲しいと。
 またこんなに年も離れてしまった、結局前と一緒だ、自分は貴方の傍に居る資格などない、しゃくりあげながら彼は必死で掴まれた腕を振り解こうとしたが、離さなかったし離せなかった。
 美しい絵を描くのだな、そうか、刀の代わりに筆を持つようになったか。
 宥めるように問いかければ、大きな切れ長の二重の瞳は星のように涙を湛えながらこちらを見上げたので、迷わずに抱き締めてあれよあれよ、という間に今――
 彼は、都心の高級マンションの最上階、宛がわれた広い部屋いっぱいに絵具やら和紙やら筆やら転がせて、あぐらをかいて新しい紙に向き合っている。

「少しは進んだか」

 コートを脇に抱えたままで問い掛けてきたパトロンの声に、真剣にスケッチブックを睨みつけていた青年は弾かれたように顔を上げた。
「――お帰りに」
 あの頃と変わらぬ艶やかな声。
 そして微笑むと酷く柔らかくなる顔つきに、松永“教授”は自然と目を細める。
 己はこの笑みを――あまりにも利己的だけれど、やはり傍に置いておきたいのだと。だから、この関係は間違ってはいない、と。
「“姫”と“若”には、今日はハンバーグを食べさせておいたので――残ったのを冷凍してありますけど、食べますか?」
 立ち上がりながら長い黒髪を結い直す若い情人に、「いや、お前の恩師と食べてきた。大丈夫だ」と手で制しながら、彼も微笑んだ。後に――
「お前がわざわざ夕飯の支度をしたのか?」
 と、怪訝に問い掛けた。
「ええ、今日は別段、大学のほうで片付ける用事もなかったので、メイドさんには早く上がってもらって三人で過ごしていました」
 たまにはそんな時間も要るかな、と思って。と、続ける“長逸”――今生でも皮肉なことに、彼は其の名を頂いていた――に、松永は笑みを潜ませ
「……お前を母親代わりにしたつもりはないのだが」
 と。
 不本意そうに言うので、言われたほうはといえば、きょとんとした後に――くすくすと整った唇を長い指で覆いながら、笑った。
「そのセリフ、昔も聞いた気がします」
 ふいに纏めていた長い髪を解いて彼が首を横に振れば、その出で立ちは、“あの頃”―― 一目で其の黒髪に、細い白面に、阿波国の陽射しに揺れる蜂蜜色の眼差しに魅入られた日を想い起こす。
「姫と若も“あの頃”のように俺を慕ってくれることが、嬉しいので」
 今でも己より背の高いひとに歩み寄り、晩冬の寒さのせいでまだ冷たい彼の指に、鉛筆で汚れた指を重ねながら彼は囁いた。
「それに家事は、嫌いではないので」
「――だが、そのせいで創作の時間が削られていたら私が不本意なのだ」
 珍しく眉間に皺を寄せながら、松永は長逸の指を擦った。
「お前の絵は本当に見事だ。その才能を育てるために手元に呼び寄せたのに、あの子らに気を割く故にお前の時間を犠牲にさせてしまっているなら――」
「犠牲なんて、そんな」
 珍しく、長逸のほうが明るい二重の瞳を見開いて、宥めるように帰ってきたひとの頬に手を添えた。
「独りで籠もっているよりいろいろな発見があって、創作の糧になっています。とても楽しいですよ」
 ここに来てよかった。
 そう言って微笑まれれば、何も言えない己がいることに――松永は改めて想う。
 絡め獲ったとあの時も想っていたのに。絡め獲られているのは、己に他ならないのだな、と。
 あの頃――この微笑の為にあの頃、どれだけの宝を贈り、どれだけの命を奪ったのだろう、と。
 なればこそ、今生はもう少し穏やかに。
 この目の前の微笑を。傍に置いておきたいと想う。
 彼の細く長い指を、酷く微かに握り締め撫でながら、彼は想う。
 これは最期まで傍に居て呉れた。
 だが、今度は――
 苦く笑む己に、長逸は一瞬不思議そうに小首を傾げて「殿?」とあの頃のように問いかけてくるので、思わず「はは」と低く笑う己が居た。
「もう“殿”ではない」
「あ」
 長逸が空いたほうの左手で己の口を覆いながら、「教授、でしたね」と言った後――「何かお飲みになりますか」と、松永が持っていたコートを受け取りながら促したので、「そうだな」と彼はネクタイを緩めた。



 彼がお気に入りの蔵元の日本酒を、ワイングラスで呑むのを見詰めながら、青年は今生でもこの人の趣味の良さには敵わない、と、ふと溜息を洩らした。
 このほうが、複雑な芳香を愉しめるのだと教わって以来、自分も同じように呑んでしまうな、と。
 そういえば、茶の湯の嗜み、書や歌の心得もあの頃――今も、結局このひとから学んでいるのか。と。
 ふいに長逸が微笑めば、ゆったりとしたソファに長い足を遊ばせている人が「?」と見詰めてくるので。
「なんでも」
 ありません、と、長逸は小首を傾げながら己のグラスを揺らした。
「月が大きいな、と想って」
 都心の高級住宅街の一角、最上階にある部屋の全面張りのガラス戸の向こうに映える月を見詰めながら彼が言うので、松永もそちらを見やってから「蒼いな」と低い声音で呟いた。
 そう、蒼いひかり。
 遥か恋路、照らすあの頃もこんなひかりの中で。
 幾度。何度聴いただろう。胸の内は秘め事、こいかたり。
「――月の光、が聴きたい」
 恋人がふいに想い出したように、無邪気にソファの端に収めた身体を伸ばして己に迫ってくるので。
「――お前は本当に」
 奔放だ、と苦く笑いながら、松永は疲れた身体を起こしてリビングのグランドピアノに向った。


 弾こうと指を滑らせた時、若い恋人が背の高い身体をのっそりとピアノの上に這い上げようとしたので、さすがの松永も「待て」と呆気に獲られた。
「何をしようとしている」
「いえ」
 きょとん。と。少し酔いの回った赤い頬で長逸は素直に答えた。
「ピアノの上に居たら、音が身体に響いて気持ちいいかな、と想って」
「――馬鹿な」
 自分にこんな顔をさせるのはコレだけだ、と自分に呆れながらも、松永は長逸を制するように続けた。
「お前、大人の男が乗ったらいくらこのピアノが頑丈でも傷むに決まっているだろう」
 諌められて、長逸は驚いて――「……やはり、そうでしょうか」と。何も知らない子供のように問うてくるので、松永は溜息を吐きながら「お前は」と、逆に問うた。
「今、何キロだ?」
「――65キロ?」
「65?」
 思わず眉を潜めながら、頭の中でBMIを計算した。
「ちゃんと食べているのか? 痩せすぎだろう」
「食べてますよ。でも、増えないんです。絵を描くって、物凄いカロリー消費するんですけれど」
 貴方なら知っているでしょう、と。
 グランドピアノの天井に長い黒髪を散らばせながら、青年は悪びれもなく――ああ、完全に酔っている――は答えて見せるので。
 松永は諦めたように「登るな」と呟いた。
「じゃあ、頭だけ乗せていてもいいですか?」
 潤んだ子犬のような焦茶の眼で強請られたら、今でも拒否出来ないのだな、と。
「……こんなコトが出来るのは」
 お前だけだよ、と続けながら、彼の長い指が静かに白と黒のコントラストの上を這って、ドビュッシーの“月の光”を奏で出した。


 冷たい黒い板越しに耳を押し付けていれば、上質な木のハンマーが軋む音さえも伴奏のように頭蓋に響いてくれるので、青年は満足そうに両目を閉じて聴き入った。
 本当にこのひとのすること、全部が好きだ、と。
 満たされるとはこういうコトだ、と微笑みながら。
 そうしたらふいに、「恋草を」というフレーズが脳裏に浮かんで、彼ははっとして瞳を見開いた。
 こんな月夜に謳ったのはなんという古代の女王(おおきみ)の恋の歌だったか――瞬間、ふいにあの頃が余りにハッキリ脳裏に甦るものだから、長い首をもたげて長逸は勝手に溢れそうになる涙を必死に抑えなくてはいけなかった。

 どれだけ希んだか。
 家も守るべきモノも全部投げ出して、最期――
 そうだ、アレは――

「――何を泣く?」
 微かに驚いて彼が演奏を止めたので、慌てて長逸は「いえ」と、無理に笑って見せた。
「何故でしょう、解らない。でも、“最期”の時もこんな月夜だった気がして」
 彼の言葉にひゅ、と息を止めたのは松永のほうだった。
「憶えているのか」
「あ……その」
 はっきりとは、と。
 自分で言ってから長逸は目を見開いて急に戸惑いながら視線を彷徨わせた。
「……憶えて、いない?」
 まるで迷子のように不安に染め上げられる彼の瞳を、琥珀色の瞳が「長逸」と呼んで定めようとしたが。
「殿」
 あの頃に引き戻されたかのように、彼はピアノから身を起こして想う人を見た。
「……いえ」
 憶えています、と。
 青年は少し青褪めながら言った。
「姫と、若は落ち延びました。姫は最後まで“共に逝く”と泣いていて」
 最後のフレーズを爪弾いた指をそのまま青年の頬に添えるために、松永は静かに立ち上がった。
「……政康? 政康と友通がふたりを連れて……そうだ、姫は“あにさまはうつくしいまま逝かれる気がしていた”と、俺を」
「長逸」
 制するように、松永が今生でも彼より逞しい身体を寄せて彼の長い黒髪を梳いた。
「……こんな、月夜で……」
 視線を泳がせながら後退さる彼を、松永はあやすように抱き寄せた。
「もういい」
 想い出すな。
 だが、長逸は続けた。
「俺は、しあわせでした」
 はらり。
 一筋涙を白い頬に伝わせながら、はっきりと彼は云った。
「最期まで貴方のお傍に居れた。貴方は俺を見て微笑んで呉れていた」
 其の言葉に、強張った男の頬に冷たく長い指を這わせながら、青年はふいに笑った。
 あの頃、そして今も。
 無邪気に絡め獲る、誘うような無邪気な声音。
「想い遺すことなど、なにがありましょう」
 笑みながら。青年はあの頃と同じ美しさで頷いた。
「我が殿」
 今も。
 告げられれば、すっかり忘れていたあの頃の焦げ付くような生き様と執念が焔のように甦ったが、慌てて「――もう、終ったのだ」と。
 困ったように、松永は今生でも廻り逢ったいとおしい稀有なるモノを、抱き締めた。
「だが、続いている」
 分かるな、と。
 囁かれて、はっと長逸が切れ長の瞳を見開いて「……あれ」と。呆けたようにまた、迷い子のように視線を泳がせながら、己の頬に添えられている松永の指を握り返しながら「生きて、いる?」と。小供のように呟くので、松永は彼の両肩に大きな手のひらを滑らせて、喝を入れるように少し強く揺らした。
「長逸」
 呼ばれれば、青年は酔いの廻った紅い頬と潤んだ瞳で、驚いたように目の前の背の高いひとを見上げて。
「困ったモノだ」
 “忘れていない”ことでもう一度手繰り寄せられたけれど、“忘れていない”からこそ、時々。境目が無くなってお互いに分からなくなる。
 最初、コレは泣いていたのに。
 もう、恋に身を焦がす苦しみは耐え難いと泣いていたのに。
「……時々、自分の我欲の深さに自分でも呆れるよ」
 それでも君が欲しい。
「――ひさひ、で?」
 あんまりにも透明な声音で無防備に呼ばれれば、忘れていたハズの暗い焔が胸の内に甦り、こんな蒼い月夜に君を攫ってこの手に絡み獲ったコトを。
「そう」
 応えながら、彼は青年の火照った頬に両手を添えて流れるようにくちづけた。
「この名が本当のモノかどうかも、私は忘れてしまった。だが、お前がそう呼ぶのなら」
 この名はお前のモノだよ、とまたくちびるをふさがれて、青年は驚いて瞳を見開いた後――
 悦びの予感に背筋がじんわりあたたかくなるのを感じながら、微笑みながら開いて受け入れて、彼の背中に、逞しい首に腕を回して引き倒した。
 蒼い月の光の射し込むガラス張りのリビングの中で。
 柔らかな絨毯の上で青年がまた涙をひとすじ落としながら「……ふ、」と身体を伸ばして啼くものだから。男は少し困ったように笑ってからその涙をくちびるで吸って、あの頃のように、喰らうようなキスをした。


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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