BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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花籠

初のSS。
三成と家康、同僚時代。
家→三。プラトニックです。
豊臣と佐吉を勝手に解釈しております。
ちなみに二人も幼馴染設定。どんなけフライングorz
製品版出た時血を吐いたら自分で自分を嘲うさ…!!


以上「ドーンと来い☆」な方は↓




鳥のようだ、といつも想う。

彼の鋭角な線の細い横顔を。
真白の肌に映える薄い唇が、珍しく笑みをかたどっているので、余計鳥のように見える。

白い鳥。

一分の隙もなく磨き上げられた、美しい刃。


やがて満足したのか、彼は尖った鼻先をくちなしの大輪の花弁から離し、ふうわりと微笑んだ。
「やはり、くちなしはよい」
「なにが、だ?」
既に戦装束に身を固め、いよいよ出陣間近という時に。
ふらりと自分の庭に寄り、花を愛でる――幼馴染の有り様に、時々家康は混乱する。
こいつは分っているのだろうか。
これから自分たちが何処へ行くのか。何を成さねばならんのか。
それが、一族郎党とそれを支配する――太閤の御威光の為とはいえど。
そして、自分が何と戦場(いくさば)で呼ばれているのかと。

「芳りがよい」

黒く固い手甲で覆われた手で、三成はくちなしの至極薄い黄色の花弁を撫でた。
「芍薬の次によい」
今年も変わりなく咲いてくれた。
そう呟きながら三成はまた片膝を折って、今度は違う花弁を撫でだした。
「お前のように風流を解せる細さが、儂には無いからな」
そろそろ行かなくては。
家康は本当はそう声をかけようとしたのだが、今しばらく花を覗き込むことで羽織から露わになる白いうなじを見詰めていたくて、関係ないことを口走った。
ああ、また竹中殿に怒られるのは儂かな。


   君はいつも佐吉の心を掻き乱してくれるね。


掻き乱されているのはどちらなのだか。
そんな家康の思惑など露知らず、三成が応えた。
「そのうち、嫌でも“雅な御方々”と邂する時もできよう。家康、武士(もののふ)ならば腕っ節だけ強ければよい、というものではない」
こちらを見上げる瞳のびいどろのような、陽に透き通るような淡い苔色。
「花くらい、愛でてみろ」
優しく。
それはそれは、まるで昔からなにひとつ変わっていない幼馴染の瞳。
とても戦場で“豊臣の白い凶刃”“秀吉の左腕”と恐れられる、返り血に塗れる若武者とは思えぬ無垢な色。
「花、か」
「花はよい。人と違い、裏切らぬ」
すっと立ち上がりながら、三成の瞳に先ほどと打って変わった、ふっと暗い光が宿る。
「丹精込めて世話をしてやれば、応えて咲いてくれる。もちろん、おざなりにしていたら枯れて途絶えてしまうが」
「三成……」
まだ、あの時のことを。
そう言おうとして、家康は言葉を詰まらせて、止めた。
この無垢な友の心には、戦乱の世の人の業は、それはそれは抉られる様に辛いものなのだと。解っているから。
「…そうだな、花くらい!でも、儂は」
「ん?」
明るく続ける家康につられて、もう一度微笑みを浮かべる三成が小首を傾げる。
「お前の庭みたいな、こういう綺麗に整えられたのも美しいと想うが、野に咲くたんぽぽなんかとかのほうが、好きかもしれん」
「たん、ぽぽ?」
三成が不思議そうに、家康の濃い山吹色の瞳を覗き込んだ。
「家康、あれは野の草だ。花ではない」
当たり前のようにそう云う三成に、家康は返す言葉を失った。
そう。
幼くして石田家から秀吉に連れて来られた彼には、整然と用意された、この――大阪城の自分の庭がすべてなのだと。
今更、思い知ったから。

秀吉が前触れも無く連れ帰った小さな佐吉を、彼の右腕にして戦国随一の軍師、竹中半兵衛は一目で愛した。
自分と同じ真白い毛色だったからだろうか。
まるで己の血肉を割いて分けるかのように、半兵衛は丹精に丹念に、幼い佐吉に持てる智恵を注いでやり、石田の家に代々継がれる居合いの剣技の腕を伸ばすため、ほうぼうから高名な達人たちを、佐吉ひとりのために大阪城に招いたりもした。
そのように半兵衛がすることに、秀吉も倣うようにして佐吉を可愛がれば。
やがて佐吉は二人から注がれる愛情を無償と信じ疑いもせず、健気にも土豪のしがない末子だった自分をここまで取り上げて育ててくれた、と、産みの親以上に敬愛し、信望するようになり。
豊臣の威光を積み上げる為に、その白い毛色を返り血で染める“凶刃”と化すことに、なんの躊躇いも持たなかったのだった。
美しい白い羽根があったとしても、物心ついた時から足枷をはめられた鳥は。
外の空は知らず、知ることを知らずして、育てられたのだ。
たったひとつ、豊臣の威光を積み上げる刃と成り得る為だけに。

そして彼は、それが“しあわせ”だと信じて疑っていない。

「…佐吉」
思わず、幼き頃の名で彼を呼ぶ。
この庭の片隅で、虫さえも殺さぬようなやわい顔で、膝を抱えていた幼馴染を。
「?」
三成は、相変わらず整い過ぎた唇で、不思議そうに笑んでいる。
その笑みを見られる時が少なくなってきていることに、少し苦しそうに微笑み返しながら。家康は続けた。
「――草ではない。たんぽぽも立派に咲いておる、花だ」
「…そうか」
そうなのか、と。
三成は大きな苔色の瞳を見開かせながら、幼子のように、本当に驚いていた。
「こうして人の手にかけて丹精に咲かせてこそ、花だと、想っていた。そうか」
「山桜だって野で勝手に咲いておる。あれはどこだったか?熊野のほうに出向いた時だったか、覚えておろう、お伊勢へ通う道すがら、美しかったではないか」
「ああ、覚えている。そうか、云われてみればあれらは勝手に咲いている。半兵衛様も、野の花は小さくていけない、多少手間でもこうして大きく咲かせてこそ花だと仰るものだから」
云いながら、三成は視線を落とし、あ、と小さく驚いた。
「ん?」
「云われてみれば」
庭の隅、まともに陽も当たらぬであろう片隅に、それでも。

ちいさく金色の太陽のような花は、逞しく押入っていた。

「…ははっ!竹中軍師が見たら即刻むしられるな、こいつ」
「それは、かわいそうだな」

次に続いた三成の言葉に、今度は家康が心底驚いて丸い目を更に丸く見開いた。
「――翁、来やれ」
「はい、三成様」
庭の面倒を見ている翁を呼ぶと、三成は――庭の隅に押入って咲くたんぽぽを指さし告げた。
「このたんぽぽ、こう、小さく盆栽のようには出来ないか」
「はあ、出来ますが、幾分木とは違いますゆえ、長持ちするかどうか」
「…そうか」
「綿毛になるまでもてば、よいではないか」
割って入ってきた家康の言葉に、三成がふ、と微笑んだ。
「そうか。そうだな。綿毛になって、またどこかへ飛んでいけば花に成れる。それまででよい。翁、盆栽のようにして、私の部屋に飾っておいてくれ。日当りのよい場所に」
「承知致しました、佐吉さま…っと、いけませんな、こんなに御立派になられたのに、こうしてお二人が並ばれていると、つい」
「構わん。仕方ない、私も時々竹千代、と家康殿を呼びそうになる」
困ったように畏まる翁に向かい、三成は本当に気にせぬように、答えた。
「――っと、いっけね!!おい三成さっさとしないと出立が!!」
「ああ」
ようやく自分の庭から出ようとしている三成の涼しい顔に前を横切られて、家康は、はあ、と肩で溜息を吐きながらそれに続いた。
軍議の前まで団子を食うな、とこっちの非にはいつもうるさいくせに、時々本当にふっと――
周りから自分を引き剥がすようなことをするのだ。
この、毛色の薄い、幼馴染は。
掻き消えてしまうかのように。
その、細い身体が。

「――三成」

既に研ぎ澄まされた、武士の雰囲気を纏いだした薄い背中に向かい。
家康は無駄かもしれないと想いながらも、明るく、努めて明るく云った。
「此度の戦が終わったら、たんぽぽの丘へ行こう。一面金色で、気持ちがいいぞ。お前の好む、芳り高い花ではないかもしれんが」
ぴたり、と。
目の前を歩む、白月の地に桔梗の色で豪奢に彩られた陣羽織が止まった。
白い、鳥のような横顔が家康を捕らえる。
「そうか」
あまり笑ってないように見えたが、その声音はひどくか細く、やわかった。
「…終わるまで、枯れなければいいが」
「――枯れないさ」
必死だな、儂は。
心の中で苦笑しながら、家康は続けた。
「野の花は庭の花と違って大層丈夫だぞ。親戚どころか、敵地を人質役でたらい回しにされても、今こうしておる儂のようにな」
「そうか」
薄く笑った血の気の無い美しい顔に、せめて。
せめて外の太陽を浴びせてやりたいんだ。

区切られた大阪城の狭い空を見上げながら、家康は「よし」と笑った。

「麦飯持って、ゆっくり出掛けよう」
「ああ」

今はその足に嵌められた枷に気付かずで、たとえそれに気付いても、君がこの区切られた籠の中に居ることを選んだとしても。
それでも。
その白い羽根で自由に羽ばたかせてやれたなら、と想う。
想ってしまう。
太陽の下で。


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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