BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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燭蛾【陽】 -前篇-

宴、松永ストーリーベースの “if” 連作、まずは家康篇【陽】の前篇です。
この後に、まったく違う展開になる三成篇【陰】予定。


タイトルは、“郊寒”と評される中国の詩人、孟郊の漢詩(五言古詩)より。


※ネタバレはもちろん、死亡扱いのキャラ多数、
 流血表現も多いので、苦手な方はご注意ください※

あと、家三です。当然ながら家三小噺です。





   燈前双舞蛾 
   厭生何太切
   想爾飛来心
   悪明不悪滅
   天若百尺高
   応去掩明月


             孟郊 







開けた、空々しいまでに開けた血戦の場一面に、焔のかおりが漂う。
そして累々と築き上げられた屍を背に、今、“裏切り弾正”“乱世の梟雄”と呼ばれた男は片腕に悠々と――“籠の中の太陽”と謳った若き将の首を捕らえ、締め上げ吊るし上げていた。
「ぐ…ッッ」
首に、仕込まれた毒爪が喰い込む。
其の先から零れる、朱珠の雫。
満足そうに琥珀色の猛禽の様な眼を細め、梟雄――松永久秀は、囁いた。
もう一度。
罅割れて軋み、引き裂かれそうないびつな魂で、それでも総てを照らす、と誓い戦った太陽の権現に向かい。甘く、それは何処までも甘美に導くように。
「もう一度云おう」
低く、艶の有る麗しい声音で。
まるで小夜啼鳥が囀るような。
「東照、云ってしまえ。籠の中に仕舞いこんだ己が胸の内。卿が本当に心から想っていることを…さあ」
そして、梟雄は己が足で踏み拉いている凶王――石田三成に視線を落としながら。
「…な、せ…ッ…!!」
藻掻く、月の化身のような色の白い若者を微笑みながら見下ろした後。
松永は続ける。
「さあ、聴かせ呉れ。軋み歪み、辛うじて此処まで歩み築いたモノを、今――打ち崩す様を私に見せて呉れ」

私は、其れを愛でたい。

梟雄の言葉に、東照――家康は驚愕に息を呑み、眼を見開いた。
なんという。この男は。この男は。

「…ッッ…云わぬッッ!!」

首を締め上げられながらも、なお。
家康は、頑として拒んだ。
もしも、云ってしまったら。聴いてしまわれたなら。
嗚呼、三成、儂だけでなく、お前も――
若者の青く苦渋の滲み出る心の血が滴る様に、松永はさも満足そうに、哂う。ははは、と。まるでそれは無邪気な小供のようにさえ。
「云わぬ、決して、云わぬ…!云えぬ!!おま、え、にも…三成、にも!!」
「愚かだな、東照」
ははははは、と、今一度、関ヶ原の血戦の空に、艶やかな哂い声が響く。
「其の言葉が、既に“云って”しまっているとさえ気付けぬとは」
若さとは、実に美しく罪なモノよ。
「なあ、聴いたかね?凶王石田三成。籠の中の太陽の悲鳴を」
「…何ッッ…!?」
踏み拉かれて、首しか動かせぬ三成が。松永の言葉に必死で、追い求めた太陽の姿を見上げる。その長く白いうなじを目を細めて見詰めながら、松永は二度、三度頷いた。
「いやあ、素晴らしい。豊臣の白き凶刃、か。そうだな、確かに卿が愛でる気持ちも分からいでもない。美しいな。そう、まるで月のよう。輝く銀糸に、水底の苔の生すような色合いの眼も私は今まで見たことはないよ。どんな南蛮の奴隷達も、其の様な色合いは持ち合わせては――いや、見た目の美しさなどどうでもいい。其れを凌駕する程の、汚れ無き一途で透明な魂か。東照、卿にはもう持てぬモノ、全てをこの月の化身は持ち合わせているな」
松永の言葉に、家康が血の気を失せた顔を更に青くさえ、喉を引き攣らせた。
「…松永、ひさ…ッッ…待て!!」
「彼は私にとっては、今のままでは…いささか純粋過ぎて、面白みに欠けているのだ。故に興味は無かったのだがな。いや、これは面白い。もしも…この不純無き魂に、吹き込んでみたらどうなるだろう?」
クックック、と。
家康の心臓を鷲掴むように、梟雄の哂い声は響いた。
「云え」
今一度。
絶対の威圧で以って。松永は云った。
「云ってしまえ。そのひかりの影に仕舞いこんだ、情念を。暗く、捻じ曲がり罅割れ折れて、其れでも離せぬ…ソレを…さあ、私に見せて呉れ」
卿も聴きたかろう?凶王。
問われて、三成が大きな吊り目を見開く。
「……な、に?」
「卿はどうするかなぁ、卿が心から憎み希った太陽の暗い胸の内を伝えられたなら。卿もまた、壊れて魅せてくれるか?いや、俄然興味が沸いてきたな、聴き給え凶王、卿の太陽は今でも――」
「…せッッ…!!」
力なく。
それでも、必死に家康の腕が松永の口を塞ごうと。
藻掻く東照権現をぐらり、掴み直しながら。松永は哂っていた。
その心からの愉悦に、家康の背筋に絶対零度の悪寒が走り――彼は、悟った。
嗚呼、暴かれてしまう、と。
このままでは三成、いや儂らは――
「卿の太陽は」

今でも、君のことを――――

「松永ァアアッッ!!」
絞られた首から信じられぬ程の怒号が響き、梟雄は張り付いた笑みを引かせて、琥珀の眼を見開いて――幼き太陽を見上げた。
「そうだ」
微かに首を傾げながら。梟雄が、凍った頬をもう一度、華開かせるように。信じられぬほど心から無邪気な笑みを。
まるで、羽根を捥がれた蛾が地を這いずる様を楽しむように。
「卿の、其の悲鳴が聴きたかった…!!」
籠の中の太陽。
「今の響き、珠玉、珠玉…!!そうだ、取り繕った笑みの奥底に隠していた、それが卿の本心だよ」
なんて、歪で軋んで、罅割れて。
「そうまでして欲しているのだな、今も未だ。嗚呼、なんと美しくも浅ましく」
醜い我欲だ。
松永の絶対の宣言に、家康の微かに伸ばされた手が――力なく、落ちた。「嗚呼」と閉じられる山吹の眼の奥にはもう、涙さえ浮かばない。
嗚呼、暴かれてしまった。
もう、解ってしまった。
誰よりも、何よりも、自分自身が。
命の瀬戸際に、手を伸ばしたのは天下ではなく、そう、ただ、ただ君の――
翳んだ視界に過ぎる、月白の地に紫色の羽根。踏み躙られて、足掻き藻掻く。嗚呼、どうして、届かない、振り解けない。
「感謝しよう。こんなに満たされたのは何時方振りか。さあ、後は糧と成るがいい」
新たな種を昇華する為に、と。続けた松永の左腕から、黒い禍つが渦巻きだした。
「凶王、ようく見ておくがいい」
はっと、首だけをなんとか上げる三成に向かい、松永は囁いた。
「卿の太陽が堕つる様を。そして悟るがいい。卿も、実はあの覇王の為になど生きてはいないのだよ。もう、ね。其の狂気の源――いや、もう止そう。さあ、見ていて呉れ給え。そして悟るがいい。亡き覇王への忠誠など覆すほどの情念を、卿がこの――」
そして。梟雄は哂った。
心から、まるでそれは無邪気な小供が新しい玩具を手に入れたような――

「太陽に、ただ焦がれていただけだったという真実を!!」

チッ、と。
小さく火花が散る音がして。

「まさか――」
三成が苔色の眼をこれでもか、と見開き手を、手を伸ばした。
梟雄に吊るし上げられた、こんなにも、こんなにも、魂が千切れる程に希った男に向って。
「止せッ家康を殺すのは――!!!」

私だ

響いた悲鳴を掻き消すかのように、爆音は響いた。関ヶ原の灰色の空に、惨く酷く、其れは引き裂くように。

「家康――――ッッッ!!!」

三成の悲鳴と同時に、家康は激しい焔に包まれていた。
黒い禍つの火薬に包まれ、美しい山吹の装束が燃え上がる――

其の瞬間。

もうひとつ、火花が散った。
そして、そこから放たれた銃弾が、真っ直ぐに梟雄の左肩を撃ち抜いて。

「――がッッ!?」

己が肩を貫いた激痛の為、焔に包まれた東照を投げ捨てるようにして、三成の鳩尾を強く蹴り飛ばしながら、松永が声に成らない驚愕の息を吐いた。
「何ッッ――」
琥珀色の瞳が捉えたのは、己に向って真っ直ぐに長身の火縄銃を構える――前田慶次の姿。
「貴様、ら、は」
「そこまでだ、梟雄さん」
かつて、踏み拉いた頃とは別人のように。
逞しく成った前田の風来坊は、その後ろに――雑賀の三代目を引き連れて、いつの間にか対峙していた。
「そいつらを離せ。さもなくば――」
慶次の言葉を引き継いだのは、横で短身の銃を構える、雑賀孫市。
「我らが、貴様の首を獲る」
「……これは、これ、は」
クク、と。肩を銃弾に貫かれて、なお。
しっかと両足で立ちながら、松永は哂った。
「面白い組み合わせだな。少年」
「もう少年じゃない」
慶次がジャコン、とライフルに新たな弾を装填しながら、改めて松永を狙う。
「松永久秀…アンタの悪行、これ以上ひとりの“人間”として、見逃せない…!!」
其処まで云うと。
ギリリ、と慶次は皮に包まれた指先を震わせながら、怒りで瞳を染め上げた。
「よくも、よくも独眼竜と甲斐の若虎をッッ!!!」
「――何?」
「それだけじゃない、片倉小十郎に猿飛佐助…何故、何故殺した!?お前に殺す必要があった!?」
慶次の怒りの滲む問いに、松永はふ、と小首を傾げた後――「嗚呼」と、なんということもなし、とつい、と空を仰いだ。
「そんなこともあったか」
「…な…」
松永の言葉に、慶次が眼を愕然と見開いた。
「いや、平蜘蛛の代わりに成るモノが欲しくてね。ただそれだけだったのだ。そうか。もう、独眼竜も甲斐の若虎…その従者達もこの世に居ないのか…」
「お前…ッッ!!」
ジャコン、と。
怒りに燃える眼で、慶次が梟雄の額に狙いを定めた其の時――
「おっと」
すっと。
松永が、音も無く歩を進め、力無く横たわる凶王――石田三成の首に――鋭く光る宝刀をあてがった。
「ッッ!!」
慶次と孫市――そして、背後に控える雑賀の精鋭達の動きが、氷のように固まる。
「止し給え、少年。前にも云った筈だよ。手に余る義勇心は、卿が思う以上の代償を要求する」
クク、と。松永は続けた。
「いいだろう、撃つがいい。やれやれ、何時の間にそんな飛び道具の扱い方など覚えたのだ?其れを放った瞬間…凶王の首はどうなっているだろうね?」
蹴り飛ばされた後、ぴくりとも動かない三成の姿に、慶次と孫市の表情が一瞬、悪寒で曇った。そして二人が次に見たのは、黒く燻る焔の名残に包まれている家康で。既に火種自体は土に塗れて消えているようだが、松永の凶悪な焔に包まれたことは事実なのだ。

―― 一刻、いや一秒でも

「松永久秀、これまでだ」
張り詰めた空気を言葉で裂いたのは、孫市だった。
「貴様の非道は、ここで潰える」
「――何だと?」
「我らが、貴様を撃つ。石田も徳川も、我らが救う」
孫市のきっぱりとした宣言に、ふ、と松永は少し疲れたように何処か遠くを見詰めた後。ふいに――慶次の方へ向き直り、また哂ってみせる。
「まったく、卿は何も学んではいなかったのだな。遠い、遠いな。風の噂には聞いていたのだよ。あの時の卿の友人だが…」
「…!!」
ぴくり、と。構えられた銃身の先が揺らぐ。
「彼は学んだようだったがね。ま、今となっては其れも此れも。この凶王の凶行で全て破滅へと突き進でしまったワケだが」

山猿の三日天下だったかね

「――松永ァァアッッ!!!」
激昂し、今にも銃弾を放ちそうになる慶次を。「前田!」と孫市が片腕を伸ばし制す。
そう。松永の宝剣の切っ先は、変わらずに三成の首を捕らえているのだから。
「卿は何をしていた?織田が滅び、卿の友人が覇を唱え築き上げたほんの短い天下統一、の間。卿がうたかたの猶予に転寝をしている合間に、友人である東照は卿のかつての友人を討ち倒してしまった。そのうえ、忘れ形見はこの有様だ。少年、卿は見ていただけだ。何も出来なかった…いや、しなかったのだよ。それを、今更、東照と凶王を助けようなど、何を今更」
「――分かってる!!」
慶次の、胸を裂く様な悲鳴が、空々に乾いた関ヶ原の虚空へ木霊する。
「まえ…だ…」
孫市が、彼の今までに見たことの無い怒りの滲む口元と――気迫と悲愴に。一瞬、眉を潜め。
「確かに俺は、何も出来なかった!!秀吉…半兵衛…二人のためになんもしてやれなかった!!いっつも、俺は遅すぎた!!だから!!…だからッッ!!」
ぎ、と。
睨みつける。かつて己と親友を、まるでモノかなにかのように踏み拉き、引き裂いた男に向かい。今はもう少年ではない男は、叫んだ。
「今、秀吉の忘れ形見と…天下の太陽に成れる、家康を助けるッッ!!その二人は、乱世の終焉の為に必要な人間だ!!お前なんかに殺させないッ…己の欲の為だけに、好き勝手に人の心を踏み躙るような、お前には!!」
慶次の叫びに――一瞬、貼り付いた笑みを不愉快そうに引いた後――松永は、静かに鮮血が流れ続ける己の傷口に手を当てた。
「困ったな。貫通してくれていないようだ。さすがに、私も生身の人間でね」
それから、く、と太く、だが色白い首を傾げながら、茶を一杯所望する、と云うかと同じような口調で。
「取り敢えず、其処を退いてくれないかな。さすがに私も命は惜しい」
人間なのでね、と。
続けながら、松永はす、と宝剣を揺らしたので。
三成のうなじから、うっすらと朱色の珠が溢れ出した。
「――待てッ松永ッッ!!」
孫市が、改めて手元のマグナムで松永に狙いを定める。
「ああ、だから早く退いて呉れないか。そしたらほら、この凶鳥は放してやろう」
悠々と。其れで取引成立だ、と笑む松永に向かいだが――答えたのは慶次で。
「ダメだ。それは出来ない」
「――何?」
慶次の言葉に――はっと。松永の笑みが引き、彼は己をいつの間にか取り囲んでいた雑賀の精鋭達の無数の銃口に息を止めた。
「まさか」
「貴様の死神部隊なら、既に我らの銃弾の雨に散った。助けは無いぞ、松永久秀」
孫市の宣言に、一瞬松永の琥珀色の瞳の中に、焔の紅が揺らめいたが――目を細め、彼は嘲笑した。己を囲む――そう、隙間無く囲いこんだ銃口だからこそ。
「馬鹿かね、卿らは」
ぴったりと己に張り付く雑賀集の精鋭に向い、松永がクック、と喉を鳴らして――肩からどくどくと赤い鮮血を流しながら頭を振った。
「こんな近距離で、八方から同時に撃ってみろ。卿らも同士討ちだぞ」
其の言葉に、凛として孫市が答える。
「構わん。そこまでしても、我らが貴様を撃ち獲る意味はある」
「――何?」
「松永…久秀…!!これまでの非道を思えば、貴様が石田と徳川を殺めた後も、決して満ち足りず、乱世を累々と掻きまわし続け…多くの人々の血と涙を、呑み込むことは分かっている!!我らは其れを認めない!!亡き、独眼竜と甲斐の若虎の遺志でもある!!魔王織田信長さえも凌駕する…貴様は、生きた怨霊だ!!我らの望む人の世に、貴様のような怪物は、存在しては成らんのだ!!」
「馬鹿な」
松永が、心底理解出来ない、と云うように眉を顰めた。
「雑賀の烏、卿にそんな義侠心なぞ不要だろう」

傭兵風情が。

続けられた松永の言葉に、孫市のマグナムが火を吹いた。
一発、二発。
ガン、ガンと炎が孫市の構えた銃口から上がり、松永の肩を、膝を貫いた。
新しい緋色が飛び散り、長身の屈強な身体が揺らぐ。
「…がっ」
三成の首に掛けられた宝刀の切っ先が、ぐらぐらと揺れて彼の銀糸を少し散らした。
「退け、退かぬば」
一歩、二歩。
孫市が朱色の眼を鬼のように見開いたまま、松永に向って進み続ける。
「次の合図で、我らは貴様を――!!」
「…傭兵…風情、に」
なおも不敵に哂う松永に向かい、孫市が高々と右腕を上げて、控える黒い羽根たちに、最期の――雑賀の誇りを懸けた命を下そうとした、其の時――

「離れ給え…巻き込まれたく、なけ、れ、」

ぐらり、と。
三成から数歩離れ、丁度、打ち捨てられた家康と、その真ん中を繋いだ処へ身体を進めると、松永が――常人ならば激痛で上げられる筈のない腕を、黒い鎖で覆われた左腕を掲げた。その指先に、渦巻く黒い禍つ。
「――待てッッ!!まつな――」
慶次がばっとライフルを投げ捨てて、猛烈な勢いで突進した――松永の、其の横。どちらだ。どちらを庇えばいい?
だが、直ぐに自分の横に走る朱色の影が、三成のほうへと勢いよく飛んだので、慶次は手を伸ばした。

家康。家康――ッッ!!

「――馬鹿共がぁあッッ!!」
「頭領――ッッ!!」
「前田殿――!!?」

松永の嘲りと雑賀集精鋭の悲鳴が同時に響き、掻き乱された関ヶ原の空に今一度、黒く不気味な焔の爆音とかおり、煙が渦巻いた――


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プロフィール

ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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