BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「この手を離さない」 前篇

お待たせいたしました、サイト一周年記念リクエスト小噺

「この手を離さない」

UPです・・・!
長くなってしまったので、まずは前篇から。
前篇では出てきませんが、後半ちょっとあるので一応R-15です。
16歳になってないお方は申し訳ありませんが、閲覧ご遠慮のほどを。

連休中に後半UPします。
お休み中に楽しんで頂けたら幸い。

※7/19 扉言葉を改変しました※



   「立ち別れ
   
    いなばの山の
   
    みねにおふる
   
    まつとし聞かば
   
    今 帰り来む」



    中納言行平









関ヶ原の合戦が“東軍勝利”で終わった後。
総大将徳川家康は、真の天下人として、日の本を治める地盤固めに身を砕く日々を送っていた。
が、東軍方の諸大名たちの心にひっかかる“事実”が、密かに、不吉に漂う薄暗い霧のようにざわざわと広がっていた。

――西軍総大将、石田三成とその参謀、大谷吉継の首はいづこに。

元々の原因は、あの関ヶ原決戦場に誰もが予想し得なかった“乱入者”――第三勢力としてどちらにも属さず中立を貫いていた筈の、上杉の賓客・前田慶次だった。
本多忠勝と大谷吉継の一騎打ちにもいつの間にか手を組んでいた雑賀孫市と共に押し入って、双方をなんと――頭突きで黙らせた後、大将同士の悲愴の覚悟の一騎打ちにも、其の空気をぶち壊すように押し入って頭突きをかまし――
気付けば、西軍総大将・石田三成と大谷吉継の姿は無く、前田慶次と雑賀孫市も風のように影形跡形も無く消え失せていて。
事実上の“東軍勝利”にとりあえず天下は統一された、これで戦乱の世は終わる、と誰もが賛辞を徳川家康に送ったが――
肝心の敵将の首検分が成されていない、ということに、不満の声を上げる者達が現れたのも事実で。
だが、誰よりもその事実に胸をざわつかせているのは、徳川家康自身であった。
――三成。本当にお前は、討たれて失せたというのだろうか。と。
確かに、慶次が頭突きをかましに来る一瞬前、既に骨も砕けて立つのもおぼつかぬ、石田三成の腹に――嗚呼、これで終わる。と。不思議と冷め切った頭で感じながら止めの一撃を放とうと、己はしていた。そして、彼はそれを受け止めきれぬだろうと。嗚呼、終わってしまう、終わる、さらばだ、お別れだ、石田三成――
だが、あの一瞬。彼は、憎しみに染まった狂気を潜ませた瞳を、一瞬、清浄に澄み渡らせていた気がする。
何故。何故、と。
まるで其れは幼子がゆびきりを裏切られるような――
余りに無垢で、真っ直ぐな瞳。
其の視線に捕らえられた瞬間、全身に走った悪寒を。
今でもまざまざと思い出しながら。
徳川家康は、西軍側に大将首として属していたかつての友、長曾我部元親の居城を訪れていた。
西海の鬼、と恐れられていた彼も今は、敗軍の将として大分落ち着きを取り戻して家康の沙汰を待つ身となっている。だが、それもこれもあの大戦の混乱の中、四国壊滅の原因が家康ではなかったこと、毛利元就が大谷吉継さえも欺き己が天下を獲らんと、信じられない一手を打って来たこと――
全てが終わり、暴かれた今。
何故自分は彼を訪れて、そして、石田三成の行方を問いただそうとしているのだろう、と。自分自身に問いながら、でも抑えられないままに。
遠く四国を訪ねた身を、相変わらずのからりとした笑みで迎えてくれた元親の顔を見詰めながら、家康は想った。
何故、この足は、手は。
あの日、月下の君を手放そうと誓ったというのに、未だ彷徨い求めているのだろうか、と。


「よく来たな、家康」
客を迎えた庭のよく見える広間、豪勢な海の幸を振る舞いながら、元親が落ち着いた声音で酌を家康にすすめた。
「ありがとう」
家康も、静かに笑みながら盃を掲げる。
「とりあえずは、食ってくれよ。ああ、今は伏見のほうに居を構えているんだってな?結構な距離だろう、ここまでは」
そう労いの声をかけてくる元親に頷き返しながら、家康は
「なに、忠勝の背に乗ればなんてことはないさ」
と答え。
「…って、お前まさか本多忠勝しか連れてきてないのか?一体どうして…」
驚いて箸を持った手を止める元親に向かい、家康はせっかくの盃にも口をつけず、切羽詰ったように切り出した。
「――元親、すまん。今日は至極、己の…儂の私情だけでお前を訪ねたんだ」
「おいおい、なんだよ、俺ぁてっきり敗軍の将の俺の首がどうなるか、って切り出すかと思って――」
そう云いながらも、元親は変わらずに落ち着いた低い声音で笑う。
恐らく、気付かれていたのだろう。それとも、自分の首がどうなるか――そんなことは、最早この西海の鬼にはどうでもいいことなのかもしれない。
家康は苦く笑いながら――うまく笑えているだろうか、と案じながら――首を振りながら、続けた。
「…元親、もしや…とは思うのだが、石田三成の身を…お前が匿っているのではないかと、儂は思って、真実を訊きたくて来たんだ」
「――はあ!?」
家康の真っ直ぐな、回りくどくもない簡潔な問いに、思わず元親が身を乗り出す。
「おいおいおい、家康どうした?」
「――三成の亡骸は、見つかっていない」
元親の隻眼を見据えながら、家康が答える。
「儂が慶次の頭突きで気を失って、それから気がついたら、全てがうまい具合に終わってしまっていた。西軍の将はすべて敗走、お前も毛利との対峙を儂の説得で収めてくれて、降伏の意を示してくれていて。真田幸村も、鬼島津も、大友勢も…黒田官兵衛も、表向きは儂の勝利を認めてくれたようだし。お市殿も、今は巫殿の社で穏やかに過ごしておられる。それはいい、いいんだ。だが、肝心の大将首の三成と、大谷刑部の亡骸が見つかっていない。東軍勢の将たちはそれを不満に思っている。だが、何よりも――儂、が…」
そこまで一気に話すと、家康はぐ、と膝の上の拳を握り締めて俯き、声を詰まらせた。
「…三成を葬った、という自覚が無いんだ」
その、痛々しいまでに、押さえ込めずに溢れ出る――家康の、“私情”に。
元親は金赤色の隻眼を細めて、やがて冠りを振って大きく溜息を。
「…話は聞いていたが、本当だったんだな」
石田の首どころか、身体さえ見つかってないのか。
続けられた元親の言葉に、家康が顔を静かに上げる。
「…だから、その身体を。もしや、石田三成が心を許した、と噂されていた“西海の鬼”こと、長曾我部元親が――もしや、隠しているのではないかと」
「……」
家康の言葉に元親が軽く顎を上げて、静かに驚いて息を呑んだ。
何故なら、彼の山吹の瞳の奥に隠しきれぬ――必死の想いを、西海の鬼は見出したから。ああ、俺はこういう瞳の色を知っている、と苦く想いながら――
元親が、くく、と吹き出した。
「…も、と、ちか?」
怪訝そうに、家康が眉を潜めた。そんな彼に向って元親は顔を上げて、静かな笑みで遠い想い出を辿るように、低い優しい声音で答えた。
「…いやよ、昔、笛を失くして我を忘れてた頃のお前を思い出してよぅ」
「…は?」
「あんなちっちぇえ竹千代がよう、今じゃこんな立派に」

惚れた相手を死に物狂いで捜し求めるように成るなんざ

そう続けられた元親の言葉に、思わず家康の頬が赤くなる。
「なっ…も、元親!!」
「いいっていいって、わーってっからよ」
あいつぁ別嬪だもんなぁ、とからから笑いながら元親が続ける。
「それにあいつにしたって、同盟してた頃は寝ても醒めても“いえやすいえやすいえやすいえやす”…ま、そこまで憎まれるってことはそれ以前に」

“大事”って、ことだろうな

「……」
「殺したくなるほど憎めるってのはよ、そいつに何かしら想い入れが無いとできねぇって、俺は想うのよ」
そういう元親のかつて――海原を写しこむように青く透明で、美しかった隻眼は。今は血の様な赤が滲む、金色に成ってしまっていたけれど。
変わらずに、只一人、ひとりのあの――ほっそりとたおやかに、だが天上の刃のように日輪を背負う彼の人の背を――
「…元親」
家康の低い呟きに、はっと鬼が我に帰る。
「――なーんてな!鬼の目にも涙?ってヤツか?ま、気にすんな」
ぱん、と己の膝を打ちながら、元親は話を逸らすようにその視線も落とした後、不思議そうに問うた。
「てかよ、家康。お前よ、なんで“石田がここに居る”って思ったんだ?」
「――え?」
元親からの問いに、今度は家康が戸惑い言葉を詰まらせる。そして、ほんの少し躊躇った後――途切れ途切れに、答えた。
「…って…儂は、てっきり、その…三成が…秀吉殿と竹中殿、刑部以外に心を開くなど…聞いたものだから、てっきり」
「はあ?」
「…三成の、傷ついたあれを包み込める…そう、元親。お前はそういう人じゃないか。傷ついた、孤独な魂を見逃さない。見捨てない。お前なら、あの頃の三成の心をも…“氷の面”を持った毛利の心さえも焦がしてみせたお前に、もしや三成は…」
惹かれていたのではないか?
最後のほうはもう苦しくて、本当に息を吐き出すくらいの弱々しさになっていることに、家康は己自身に情けなさを感じつつ。だが、聞こえてきた“凶王は、あの西海の鬼に心許したという”噂から――邪推な、と想いつつも、もしやと想っていた問いを投げかけたのだが――
「はっはっはっ!そりゃないぜ、それはないない、家康よう」
と、豪快に笑って返してきた元親の隻眼に、呆気に取られて口をぽかんと開けてしまった。その天下人に似合わない態度に、元親はああ、こいつぁまだまだ――と苦く、だが嬉しく想いながら。続けた。
「そりゃ、あいつは別嬪なうえに、とんでもない口下手ってのを引き算してやりゃ、なかなか素直で可愛らしいところもあるけどよ。だからって、そんなにほいほい惚れられるってもんじゃねぇだろ!人ってモンはよぅ。俺ァ石田のことは、弟みたいに想っているぜ。俺みたいな銀の髪や青…っと、今は丹色混じりの金の眼だけどよ、そういねぇから、あいつの毛色は好きだったし。周りの野郎共が好い噂を立てたのかもしれねぇが、俺は…まあ、うん、ちぃとばかし、世話のしがいのある弟だったがな!」
からからと、それこそ真っ青な海原の上を飛び跳ねる太陽の光のように笑う元親の言葉に――
家康は思わず耳まで赤くなりながら、本当に気まずそうにして。言葉を失った。
「…すまん」
聴こえるか聴こえないかで零れた謝罪の言葉に、元親はますますかつての“竹千代様”と三河武士たちに護られるままだった、幼い彼の直情を見て取り。至極、労るような鬼の情けの滲む声音で云った。
「…やっぱり、お前ら、そうだったんだなぁ」
「……」
「いやいや、サヤカも“あんなに互いの名を連呼し合うだなんて、聞いてるこっちが恥ずかしくなるからす共だ”って呆れてたぜ?あんまりオトナを舐めるモンじゃねえぜ、家康。俺ぁ石田を傍で見てたから、云えるぜ。あいつも最後まで、お前への情を棄て切れてなかったな。あいつは豊臣秀吉の仇を討りたかったんじゃぁ、ないぜ。本心は。ただ、お前への…って、まあこれ以上は」
本人から訊いてみな。
元親から続けられた言葉に、ガバッと家康が面を上げる。
「よぉうく考えてみな、家康。お前と石田の一騎打ちに、最後乱入してきたのは誰だったっけ?」
「――!! な…ッ…ま、まさか」
家康の切羽詰った山吹色の瞳を兄のように優しく見詰め返しながら。元親が満足そうに頷いた。
「そういうこった」
「だ、だが…!どうして、慶次、が?」
「考えてみろよ。石田は、慶次の親友だった…秀吉の寵児、忘れ形見だったんだ。あいつはずっと聞きたかったんだろうよ。秀吉のことを…石田から…っていうか、放っておけなかったんじゃねえかな…豊臣の忘れ形見、竹中半兵衛の遺した、豊臣の守り刀という存在を、よ。慶次もサヤカと一緒に戦っていくうちに、あいつなりに色々考えて決着つけたかったみたいだぜ。秀吉と竹中半兵衛への…ま、なんかうまく云えねぇけどよ。慶次は…」
「……そうか、では…みつ、なり、は……」
俯いて拳を握り締め――唇を噛み締める家康に向かい、元親はすべてが終わった今だからこそ、かけられる言葉を。
「なあ、往ってやれよ、家康。あいつもきっと心のどこかでそう願っているはずだ。あいつはどこまでも純粋で、自分に嘘さえつけずに…けれど、憎しみで覆い隠してしまっていたんだ。本当に自分が欲しかった存在を。多分、俺ぁそいつはお前で、間違いないってみてるぜ」
「元親…」
それ以上は何も云えずに――うっすらと水鏡のようにさえなっている山吹の瞳で、家康はしばし、再び友という名の絆を取り戻せた相手の顔を見詰めていたが――
うん、と静かに頷くと、「ありがとう…」と掠れた声音で呟いた。
「ありがとう、元親。ワシ、往ってみようと想う」
ふいに、“竹千代”だった頃のような砕けた口調になった家康に、元親は微かに驚きながらも嬉しそうに微笑んで。
「ああ。俺はそれでいいと想うぜ」
と。ニヤリ、と笑って見せて。
家康もまた心から吹っ切れたような笑みを返すと、すっと立ち上がり、「せっかくの馳走を、すまん、でも儂は直ぐにでも」と云い。元親も「ああ、またゆっくり来いよ」と見送ろうと片膝を立てた時――ふいに家康が振り返り。
「…これは、差し出がましい言い分かもしれんが」
少し苦しそうな口調で、切り出してきた。
「元親…お前も、毛利に逢いに往ってみてはどうだ」
家康の言葉に、元親が浮かべていた明るい笑みを一瞬に引かせて、隻眼を見開いた。まるで、心の臓に刃でもいきなり突きつけられたかのように。だが――やがて、力なく「はは」と掠れた声で笑いながら俯いた後、彼は答えた。
「…そうだな」
そうだな、と、もう一度。金赤色に染まってしまった眼を細め、どこか遠くを睨みつけながら。それでも、苦く笑いながら。鬼は続けた。
「…解ってる。まあお前があの時止めてくれたからだけどよ、俺は…あいつに止めを刺せなかった。息の根を止めることを、しなかったんだ」
そして、深く、深く俯きながら。
「…あいつに、あそこまでさせた…俺の大切なモノを蹂躙させるまでに…俺は…分かっているんだな。ああ、そうだ。そうだったんだ」
そして、く、と遠く、だが近い海の向こう――未だ生きていて、変わらずに一族郎党の為――それだけの為に息をしているだろう、彼の人を。
想う瞳は、一瞬あの頃のように青く澄み渡ったかのようで。
家康はそれを認めると、静かに告げた。
「…儂の処へ毛利方の名代として来るのは、目下隆元殿だ。元就公は城の庵に籠もり、まともに寝食も取らず、まるで死を望んでいるかのようだ、と隆元殿は嘆いていたぞ」
その言葉に、元親が凍りつく。
「…それは本当か」
「ああ。まるで、即身仏にでも成る気かもしれぬ、と、隆元殿は泣いていた。日輪を拝むことさえ忘れ、見ているこちらが命を削がれるようだと」
「…あいつ…」
ちぃ、と舌打ちをした、鬼の横顔に。何処までも消せない、深い想いを感じ入りながら。家康はまるで己のようだ、と苦く笑った。
そうだ。憎い、すべてを奪ってしまいたいくらい憎めるなら。
きっと。そうなる前は、きっと――
「逢いに往こう。お互いにな」
家康の言葉に、元親がはっとしながら、金赤色の隻眼を揺らした。
そして、家康は想った。
彼は逢いに往くだろう。そして、赦し難い深い深い溝を越えて。それでも手を伸ばすだろうと。手を。逝く事さえも望む絶望の淵に立つ人に。手を伸ばし、抱き寄せずにはおられぬだろうと。
己もそうしようと、決意しながら。


Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

最新記事

最新トラックバック

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。