BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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有心論 【the latter part】

お待たせしました、ノーマルCP三鶴小噺、これにて…
了かどうかは、読み手の皆様にお任せするとして
書いた本人がどうこうは、後日あとがきとしてあげまする…!

拍手ありがとうございます…!お望みに叶っているかどうか冷や汗モノですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。後日のあとがきで、改めてお返事致します!
十一旋へのお言葉もありがとうございます…!!映画の感想も後日必ずUPしますので、しばしお待ちを…




「ちょっとそこの三成さんッッ!!」
張り上げられた、小鳥が騒ぐような可愛らしい声に。
三成と、その周りに従っていた親衛隊員たちが一斉に振り返った。
「…姫様(ひいさま)?」
いつも冷静沈着、滅多なことでは眉ひとつ動かさない隊長の嶋でさえ、微かに困惑を潜ませた声音で鶴姫を見やる。
呼ばれた本人――三成はと云えば、く、といつものように長く白い首を蛇の鎌首のようにもたげ、仁王立ちになっている鶴姫を真正面から見詰めていた。
「…なんだ」
低く、聞く者全てを恐れで平伏させるような凶王の声音が響く。
「お話がありますっ!!」
栗色の短い髪を、さわわ、と鳴らしながら彼女は決死の覚悟を秘めた大きな瞳で。
「――姫様、如何なさったのです」
睨み合ったままの幼い二人の間に、嶋が年長者らしく至極落ち着いた声音で割って入り、鶴姫のもとまで歩み寄って彼女を見下ろした。
「嶋さん、わたし三成さんにお話があるんです」
「…姫様、三成様がなにか、姫様の御気に障るような」
「違います、そうじゃないです。とにかく、三成さんとお話させてください」
嶋に静かに問いかけられたせいか。
まるで猪のような勢いで三成に突進しそうだった鶴姫は、少し落ち着きを取り戻してふるふる、と栗色の髪を鳴らした。
「…ごめんなさい、嶋さん、わたし…」
「――よい、嶋」
其の時。
三成本人が、困惑する親衛隊隊員たちの間からざっざ、と進み出ると、顎を上げて鶴姫を見下ろしながら、嶋に命を下した。
「行け」
「…は、しかし…」
「構わん。其の者は私に話がある、と云う」
何の感情も灯さないような、白く冷たい面で、彼は続けた。
「曲りなりにも伊予河野が大祝一族を率いて西軍に組する大将首だ――其の娘は。私が時間を割いてやる価値はあるだろう」
「……」
三成の言葉に、嶋は息を止めて交互に、三成と鶴姫の顔を見やったが。
二人の瞳が自分の姿を映さずに、お互いだけをしっかと捉えていることを分かると、さっと踵を返して他の親衛隊員たちを促し、三成に一礼をしてその場を立ち去った。


「――それで」
何の用だ、と問われてみれば、鶴姫は那由多一閃を放つが如く勢いでこう告げた。
「今すぐ“復讐”をやめてください!!」
「…は?」
三成が思わず、間の抜けた返事を。
「…貴様…気は確かか」
思わず黒い手甲で包まれた手で自身の顔を覆いながら、三成が嘆息してみせたが、鶴姫は怯まずに続けた。
「あの人も…そう云ってるんです!」
「…“あの人”?」
「あなたと、同じ色の髪をした人です。女の人みたいに綺麗な…」
「な…ッッ…」
「泣いてるんです。声も出せずに、ずっとずっと。後悔してるんです、もっとああしてやればよかった、こう教えておいてやればよかった、みつなり、さきち」

   僕らの大切な子

そう発された言の葉は、其の巫女姫の喉からだった筈だが――
其れは、確かに彼の人の声音として、三成の耳に届いた。
まるで鈴を揺らすように、いつもいつも歌うように心地よくこの耳に響いていた、あのいと惜しい声音。

「――泣かないで」

鶴姫は、おおきなはしばみ色の瞳を水鏡のようにしたまま、三成の手を握り締め、見上げた。
見開かれた、苔色の双眸を。それもまた、水鏡のように揺れていて。


「泣かないで・・・」


そう云いながら、彼女は泣いた。
三成の手を握り締め擦りながら、彼女は何度も繰り返した。

   泣かないで。
   泣かないで。

   大切な子。

「もう、もういいんです」

しゃくりあげながら、彼女は告げた。
「あの人も、あの人を迎えに来てた方も、そう想ってます。もう、いいって」
三成は暫く凍ったように動ずることが出来ず、息を止めていたが。
やがてゆっくりと尖った顎が天を仰ぐと、白く痩せたうなじが反り返って。

「…私には」

ゆっくりと。
酷くゆっくりと、三成が凍りついた面で天を仰ぎながら。
その頬は雪の様に青褪め乾いたままであったが、喉を伝って零れた言葉は、涙に濡れて震えていた。

「出来ない……」

その言葉に、鶴姫の瞳がさわわ、と見開かれた。
「どうしてですかっ!?」
伝わったハズなのに。確かに、あの人の心を伝えたハズなのに。
「…私、は…私の命は、あのお二方の為に在った…そして今そのお二方が居ないのに、どうして」

生きている?

「――そんなコト、云っちゃダメです!」
三成さん、と小さく叫びながら鶴姫は天を仰いだままの彼の身体を必死で揺さぶった。まるで、“こちら”へ呼び戻すかのように。
「生きてるなら、生き残ったのなら、生き抜かなくっちゃダメです!」
「――預言者よ、貴様には解るまい」
必死で揺さぶってくる鶴姫を酷く静かに見下ろすと、三成は冷たく云い放った。
「もののふには、命よりも重んじねばならぬものがある」
だが、鶴姫は瞳にきっ、と強い光を宿すと、凛と云い返した。
「ありません!!」
「――は?」
「命よりも大切なものは、ありません!!命より重いものは…ないんです…!!」
「……」
「だからっ…もう止めてください、そして、そして」

しあわせになってください

「…戯言、を云うでないッ…!!」
ギリギリと。歯を鳴らしながら三成が再び凶の気配を纏いだした。
「そのようなもの、そのようなものは秀吉様が討たれたあの日に私の心から永遠に奪われたのだッッ!!貴様に何が解る!!?もうよい、貴様など、何処へなりとも去ってしまえ!!その翼を私に手折られぬうちにな!!」
「まっ…!!」
鶴姫がかああ、と顔を真っ赤にしてわなわなと手を震わせた。
「悪い口!!なんてこと!?と、いうかこんっっっなに鶴が頑張ってお伝えしても、届かないんですか!?どれだけひねくれちゃってるんですか!?」
「ッッ!?ひ、ひね…貴様ァッ!!頭を垂れろ!!今すぐ其の首刎ねられろッッ!!」
「馬鹿な人!!前々から想ってたけど、ほんとに、ほんとに三成さんって人の話をききませんね!いいですよ、去っちゃいますよ。去っちゃいますからね、鶴は白い翼で凶王さまからさよならですッッ!!」
「ああ、去ね、去れ、退れ、とっとと散去れ!!貴様の顔など二度と見たくない!!」
「…っっ!!」

三成の吐いた言の葉に。

鶴姫はよろ、と微かにたじろいで、揺れる眼で――彼のみどりの眼を見詰め返した。
そして、彼もはっと息を呑んだ。
傷つけた。
初めて、自覚した。
手を上げたことは、実は一度もなかった。
その小さな白魚のような手が遠慮なしに触れてくることを。
いつの間にか許していて、そして――
記憶のうちには、ほとんどが笑っている顔しかなかったのに。

目の前の彼女は今、眉を潜め、ほんの少しだけ唇を開けて、震わせて。

「……ッッ」

耐え切れぬよう、三成が踵を返してその場から立ち去ろうとした時――
「素直におっしゃいな!“鶴が居ないと困る”って!」
「んな…ッッ!?」
いきなり背中から浴びせられた言葉に、苔色の瞳を見開き、三成が怒りを通り越した――呆れたような顔を。
「もう背中、さすってあげませんからね!みかんもむいてあげませんからねっ!!」
「きッ…貴様ッ」
無意識に、本当に困惑する自分に困惑しながら。三成は完全に立ち止まった。
「知りませんよ、知りませんからねっ!!もうあの人が三成さんに何か伝えたくても、鶴は教えてあげませんからねッッ!!」
「な、なんだと!?待て鶴!半兵衛様が、半兵衛様は未だこちらにいらっしゃると」
「だから云ったでしょ!?あの方は、三成さんのせいで“あっちに往けない”んですから!!」
「…!!」
「だから、だから…」
ひっくひっくと、今や完全に童のようにしゃくりあげながら。
「三成さんのばか…っ頑固者っっ!!」
彼女の泣き声に、叫びに、三成がはっと目を瞠る。
小さい丸い顔をぐしゃぐしゃにして、彼女は未だ泣いていた。何故。何故。

――私のタメに?

「鶴…」
三成が自分でも驚いたが――鶴姫の方へ戻ろうとしたが。
「ばかっっ!!!」
彼女のもう一度の罵声に、想わず首を仰け反らした。
「もう知りません!」
たん、と駆け出した彼女は回廊の先に騒ぎを聞きつけてやってきた“海賊”、元親の隻眼が驚きで見開かれているのを見つけたが、構わずにたんたんと彼の横を走り抜けて。
「おいっ鶴の字!!」
元親の男らしい潮で擦れた声音など一切無視して、大きな身体の横を小さな彼女の身体がすり抜けていった。
しゃんしゃんと、彼女がいつも身に着けている鈴が鳴り響く。泣き声のように。
「おい、石田ァ!」
「……」
「また痴話喧嘩かァ!?ってか泣かすまで何云いやがったんだ!」
あいつも一応むすめっこだぞ、と。
どすどすと。無遠慮な言葉を投げかけながら、自分に迫ってくる元親など目に入らぬように。三成もまた、息を止めるようにして、走り去っていく栗色の小さな頭を見詰め続けていて。
「…おーい、石田ぁ?三つの字よう??」
三成の今までに見たことの無いような表情に――元親が金赤色の隻眼をぎょっ、と見開いて三成の顔を覗き込み、ひらひらと手を彼の苔色の双眸の前で振ってみたりしたが。
「…鶴」
零れた名の声音に、自分でも驚いた。
未だ、こんな声音を出せたなんて。
「――何故泣く」
ふらり。一歩、一歩だけ。足は前へと、身体はゆらりと進んだが。
既に視界に彼女の小さな――艶やかな栗色の髪が見えないことに、三成は、はっと息を呑んだ。
「…偽りでは、なく」
「お、おい石田…」
元親が隻眼を見開いて仰け反った。
「…お、おいおいあんたら…」
まさか俺の知らないところでそういう仲になってやがったのか、と一気にまくし立て騒々しく詰め寄ってくる元親を無意識に押しやりながら、三成は足元おぼつかなくふらふらと。
だが、それ以上は進めなかった。
追いかけて、手を。
もしあのちいさな白い手を捕ってしまったら。
全てが変わってしまうような、恐ろしい気持ちに竦んで、足は動かなかった。
あの男の首だけを希って、真っ暗に塗りつぶしてきた世界が。
世界は。
君という羽根で、一体どうなってしまうというのか。






ぱたぱた、りんりんと鈴を鳴らしながら、鶴姫は涙を乱暴に拭いながら、火照った頭で無茶苦茶な思考を巡らせていた。


そうだ、宵闇の羽の方に頼ってみよう。
いつだって、わたしが危ない時に神風のように吹いてくれるあの方に。
あの方が東に属しているのは、ここ最近の戦で判った。
あの方ならきっと、ふたりを仲直りさせる妙案を授けてくれるハズ。
だって、あの方は“人に非ずモノ”だもの。


「そうと決まれば…バシッ!と!ひとっ飛びです!!」
小さく拳を握り締めながら、自軍に宛がわれた大坂城の一区画に鶴姫は本当に“ひとっ飛び”で舞い戻ったため、待っていた爺やや家臣たちは目を白黒とさせ、更に続いて告げられた姫御前の言葉に、今度は上へ下へと大慌てで走り回ることとなった。


それから数日もしないうちに、伊予河野の大祝一軍は西軍から離叛した。
「やれ、ほんに“ひとッ飛び”でやられたわ」
大谷は忌々しそうに呟いたが、「まあよい。毛利も戻った。アレが降るのも、そう遠くはない」とほくそ笑み、追っ手をかけるようなことはしなかった。


「闇色さん」
そう呼ばれて、ようやく我に返る。
庭に向かい呆けたように佇む三成の横に、いつの間にやらお市は立っていて。
「白い鳥は、去ってしまったね」
「……」
お市の静かな言葉なのに。もう傷だらけでこれ以上痛みを感じることもあるまい、と想っていた胸のどこかが不思議としくしく痛むことに。
三成は静かに動揺し、だが不思議と「ああ、そうだったのだ」と受け入れていた。
「…私は、あれを」
三成の言葉に、お市は彼の顔を覗き込むようにして、黙って続きを促した。
「あれを…傷つけた。傷つけられることの悲しみを、私は知っていたのに」
俯いたまま、人形のように固まった表情の三成を暫く見詰めた後。
お市は手に握っていた小さな野花をくるり、くるりと廻しだした。
思わず三成がその野花を見る。
それは本当にそこいらに生えているような艶のない緑色の茎で、でもその先に――かわいらしい、紅色のぷくっとした房がぽこぽこ成って稲のようだった。
「これ、犬蓼のお花」
お花って云うよりは、実かしら。
ふいに、やけにはっきりと喋りだしたお市に、三成が息を呑んでその顔を見詰めたが。とんと構わぬ、というようにお市は言葉を続けた。
「花言葉はね。」
お市が、ふっと微笑んだ。
「“あなたのお役に立ちたい”、よ」
赤い鞠のような可愛らしい花弁をくるりと廻し、お市がいと惜しむように花を撫でた。
「“イヌ”死にとか…“犬侍”とか、云うけれど。それでも役に立ちたいのね」
市もそうなの。
「――“三成さん”」
初めての、お市からの名での呼び掛けに、息を止める程に驚いて三成が顔を上げた。其処には、透き通るような白さで静かに微笑む面があって。まるで、霧が晴れたかのような、確かに光を宿す瞳で。
「白い鳥さんは、必ず帰ってくるわ」
静かに微笑む彼女の瞳に見入りながら、三成が息を呑んだ。
「あなたを裏切るなんて、絶対にしない。あなたを助けたい一心で、あの白い鳥は飛び出してしまったの。何もしないで、あなたを死なせたくないだけ」
そっと、花が渡される。
白魚のようなお市の手から、黒い手甲に覆われた――三成の冷たい手に。
「だから市は、あなたの傍にいるわ。鶴の代わりに」
そしてそっと重ねられたてのひらとちいさな野花の上に、ぽたり。
落ちたのは、涙だったのか、急に降り出した夕立だったのか。
やがて珍しく明るい大阪城のたそがれ時は、分厚い雨の帳で包まれていった。


















最期に相応しい、と思わず呟いた三成の後ろで、大谷刑部がヒヒッ、と引き攣った、吐息とも嗚咽ともつかぬ笑い声を立てた。
「そうよなァ、最期に相応しい場よナァ」
やけにだだっ広くて、広い空は分厚い雲と、それなのにうっすら西から射す緋でひらひらと、変幻自在に染まっていた。
「そう、これで最期だ」
不思議と静かな心で、三成は目を閉じた。

秀吉様。半兵衛様。
どうか、どうか。

「私に…許可を…」
そしてかっと開かれた血走った眼で、三成は天を仰いだ。
「家康ッッ…そして憎き家康のもとに集いし東軍よ…!!今日が貴様らの…ッッ!!」
「――三成。そうよ、それでいい。東軍勢、奥州筆頭伊達政宗はじめ、最上義光、北条氏政、雑賀孫市…皆、皆ぬしのよいように斬り刻め。おお、そうそう」

あの巫もか。

その名に、一瞬憎しみで真っ赤に染まった目の前が清浄になるのを。
三成は感じて、息を止めた。
そうか。この先に、居るのか。

「憎かろう?三成。あの巫は、ぬしを裏切って――」
さも愉快、と続けられていた大谷の言葉を。遮ったのは――
「――よい。私が云ったのだから」
まるで清水のようにひたり、と澄んだ三成の声音で。
思わず大谷の闇に染まった瞳孔が見開かれ、銀の糸で包まれた尖った頭を凝視した。
「お前など、何処へなりへと去ってしまえ、と。だから…あれは、私を裏切ってはいない」
いや、むしろ。
「“白い翼で羽ばたく鳥”だと、ぬかすなら」
三成が――静かな。だが、其処に微かなひかりを宿した瞳で遠く、遠く彼女が飛び去った方を――
「此処という“籠”は、あれには窮屈だったのだろう」
「…三成…?」
大谷は――久方振りに嵐の分厚い雲間から射すひかりのように覗いた、彼の――正気を見て息を止め、目を瞠った。
「それでいい」
鋭角な線の横顔が、一瞬ふわり、和らいだ。
「私には…」
届かないくらいの高さにまで。飛び去るがいい。


「――それでいい」


君という羽根は。
君という羽根に触れたら、もう。きっと。
だから。


やがてフン、といつもの様に鼻を鳴らすと、凶王の紫を纏った三成は
「進め!!どんな不利があろうとも!!我ら常勝、豊臣軍ッ!!」
と、背後に控えるつわものどもに向って吼えて、迷うことなく大太刀の切っ先を――この先に居て、ようやく辿り着くであろう男の首に向けて、走り出した。

ふわり。

死色を纏う筈の彼の背に、ほんの少し、白い羽根が混じって散って。
そして火蓋は落とされて、彼女は待つ。
いくつもの運命の上で。
どうか。

どうか、あの人の羽根が折れずにすむ運命を呼べますように、と。

厚く灰色や鈍いこがねや淡い紫に色を変える、雲を見上げながら。
白い翼で、祈りながら。



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プロフィール

ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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