BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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like a lily 【the first part】

久々の家三SS。
長くなった?ので、まずは半分。
前篇はまだ穏やかだった頃の、回想。
多分家康視点で→→→三成。です。



「まるで百合のようだね」

隣で、楽な着流しに薄い桔梗色の羽織を纏った半兵衛が、満足そうに呟いたので。
家康は「は」と、少し気の抜けた返答を。
ゆっくりと白い睫の下の紫苑の瞳を、家康の方へ向けながら。半兵衛が、いつも浮かべている、なんとも心読めない視線で家康を捉え、もう一度云った。
「まるで百合のよう」
あの子の歩く姿さ。
そう続けられて、彼に促されるようにこちらにむかってくる細い影を見た。
甲冑を外し、半兵衛とよく似た明の国の民が着るような薄着で。
胸に、見事な大輪の山百合を抱えた三成が、初夏の陽射しに其の白い肌をますます白く浮かび上がらせながらこちらへさくさく歩いてくる。
「美しいだろう?」
満足げに。もう一度、半兵衛が家康に訊ねる。
歩く姿は百合のよう、とは本来、姫にこそ贈らねばならぬ言の葉では、と一瞬家康の脳裏には過ぎったが、直ぐに
「ええ」
と、返事する己が居た。
そう云わざるを得ないほどに、彼は美しかった。
まだ幼さが残る齢にて大坂城に“子飼い”として召し上げられ、真白の毛色の戦国随一の軍師によって丹精に磨き上げられた“豊臣の白い凶刃”は。
生まれもってなのか、それとも育ての親御に植え付けられたからか、黙って花咲き乱れる庭に佇んでいれば、一瞬にして数多の命を散らす修羅と化すことなど、とても信じられないくらい儚い風情の――

「半兵衛様」

戦場で、敵方を震え上がらせるような咆哮を吐いてみせる声音が、今は信じられないくらいに柔らかく、静かに響く。
だが、これこそが彼本来の声音の高さなのに、と、家康は少し哀しく想う。
「これを」
「ありがとう、三成」
己が寵児から差し出された大輪の山百合の白さと純潔を想わす馨りに、半兵衛が思わず破顔する。
「よく育てたね」
相変わらず見事だ、と半兵衛が美しい横顔を、百合の花弁に埋めた。
「勿体無いお言葉」
少し頬を上気させながら、さらり、銀糸の前髪を揺らして三成が俯いた。伏せられた長い黒鳶色の睫に、おもはゆい嬉しさを滲ませて。
「いやいや、見事だよ。三成、君はもう少し自分で自分をきちんと評価してあげないとダメだな」
半兵衛の言葉に、「?」と三成が小首を傾げる。
家康は、半兵衛の何気なしではあるが、今の三成の本質を鋭く突いた言葉に息を呑んで二人を交互に見詰めた。
「君は、君が思っている以上に、素晴らしい才を持っているし、ちゃんと其れを生かせている、というコト」
治部少輔(じぶのしょう)殿、と続けながら。半兵衛が青褪めた唇で微笑みかければ、困ったように三成は「…は」と、育ての親御の瞳を見つめ返した。
「…先の北条方和睦の件は、もう気にしないこと」
半兵衛の、諌める中にも出来るだけこの子を傷つけまい、とする労りの滲んだ声音に。
三成が、は、と息を止めた。
「君でなくても、結果は同じだったよ。でもね、官兵衛君が無血開城を推したのは、豊臣だって無駄な血を流すワケにはいかないからさ。彼は僕と秀吉が駆け出しだった頃から共に戦ってくれている。その彼の言い分だもの、間違ってはいないよ」
「しかし…」
くッ、と目元にくしゃり、皺を寄せる子に向かい、半兵衛が飄々と応える。
「その顔はするな、と云っただろう」
「あ…」
「折角の美男が台無しだよ?三成」
困ったように笑う半兵衛の、宥めるような目線に。三成がますます、幼子のように目元を紅くして「…は」と、うなだれる。
「そうやって直ぐに感情を顔に出してしまうのは、君の悪い癖だ。将足る者、どんな時でも敵にも、いいや味方にだって肚の内を知られてはいけない…」
そこまで、山百合の純白の花弁を撫でながら。続けていた半兵衛だったが、ふいに首を横に振ると――ふっ、と苦く笑い
「うん、君はソレが出来なかったから、僕も君を軍師として育てることを早々に諦めたのだけれど」
明るく、夏の陽射しが佳人の病で蒼く透ける白肌を照らした。
「まあいいや。ソレは吉継君が代わりにしてくれるだろう。三成は秀吉みたいに、力の象徴だね。あの大太刀をあんな風に振り回されて、恐れない者が何処に居よう?」
まったく頼もしいことだ、と続けながら。半兵衛がころころと鈴を転がすような声音でひとしきり笑った後、縁側の角から小姓らが遠慮がちに顔を出し、「お匙の時刻に御座います」と半兵衛に向かって頭を垂れた。静かに頷いて半兵衛がす、と片手を差し上げると、三成の細く長い白い手が音も無く添えられて、まるで親子のように。二人は縁に並んで立った。
「さ、じゃあせっかくだからこれを綺麗に活けようかな。秀吉にも見せてあげようね」
小姓らを促して、半兵衛がにこりと微笑んだ後――三成の手を放し、静かに回廊の向こう側に去っていった。
ぽつねんと残ったのは、手持ち無沙汰になった三成と、正しく座したままの家康の二人。
「…竹中殿は」
男らしい線の太い横顔で。
家康が静かに、心から感じ入るように呟いた。
「ほんに、お前の親御殿だなぁ」
「は!?」
「お前は本当に甘やかされている」
うんうん、と腕を組んで少し、年寄り風を吹かせながら。家康がどこかわざとらしく神妙に頷く。
「儂が織田方からの客人――まあ実質人質だが、一時お前と過ごして居た時から感じてはいたけどなぁ。羨ましい――」
そこまで家康が云った時、ゴッと鈍い音が静かな縁側に響いて。三成の鋭い肘鉄の型、その先にはまともにそれを喰らった家康が仰向けに倒れていた。
「半兵衛様は、私の親御ではない」
何度云えば分かる?貴様は馬鹿か、そうか馬鹿か。
吐き棄てながら、三成がぐったりと突っ伏したままの家康の上に覆いかぶさって山吹の装束の襟元を掴むと、ゆさゆさと乱暴に動かした。
「馬鹿め」
低い声音で鋭く耳元で云われたので、寝たふりをやめて、目を開けてみる。
白く美しい、鳥のような鋭い線の面。
彼自身は、この美しさがどれだけの人間を惑わしているか知りもせず、知ろうともしないのだから。

勿体無い

心の中で呟くと、家康は「いった…」と小さくぼやいた後――ふわり。羽根のような微かさで、彼の頬を撫でた。
撫でられた人の、大きなみどりの眼が丸く見開かれる。
どんっ、と家康を突き放すと、じりり、と反射的に後退りしながら、三成は家康の指がなぞった跡を己の指で無意識に確かめた。
「何を…」
目の前で、「っしょ」と起き上がり、悠々と胡坐をかいている幼馴染を睨みつける。
彼は苦笑の後で、侍女たちが色めき立つような男らしい、よく響く声で淡く微笑みながら云った。
「まるで百合のよう」
あんまりにも真っ直ぐに、見詰められながらそう云われたので。一瞬、なんのことを、と判らなかったが、三成は家康の言葉の意味を解すと、またずんずん彼の方へ向かい胸倉を掴み挙げようとしたが。
「おおっと、待て待て」
あははは、と困ったように空笑いしながらも、家康はがっちりと三成の細い、甲冑に包まれてはいない細く白い腕を手繰る。
「ええい、放せ!忌々しい、もののふが、花に喩えられて何の――」
「悪かった悪かった」
「だから、放せ!馬鹿力ッッ!!」
凄まれて、家康が笑みは崩さないままでそっと、三成の腕を解放する。だが、彼の太い指先はそのまま三成の白い肌に浮き出る蒼い血の管をなぞり――そっと。そっと、彼の冷たい指先に触れながら。押し戴くようにしながら、囁いた。
「よくもまあ、あんな美しい花を育てるこの指が」
云いかけて、やめる。そして、ぱっと明るく、努めて明るく笑みを浮かべながら、彼は云った。
「竹中殿に差し上げた、山百合な」
は、と。見詰められて、三成の顔からすっと険が退いた。
「見事だった」
家康が心からの賛辞と共に、男らしい太い眉と、山吹の瞳を細めて微かに頷いて見せれば。
三成は、こくり、と息を呑んで彼の人の目鼻立ちに目を奪われた。
なにもかも細く鋭く育った自分と違い、幼い頃から骨太だった彼は、そのまま逞しく太い線に育った。少し丸みのある鼻先も、厚い口元も、なにもかもが自分と違い、肉付きのよい重さを感じさせる。それに――
太陽を想わせる、爽やかな笑みが加われば。
何故に、自分にはこれがないのだろう、と羨まずにはおられない何か――想わずこの心までも、魅き寄せられる様な。
「……」
なにか、ことばを。
言の葉を。
返したくて、でも返せなくて。
三成がくるり、背を向けてすたすた、庭の奥へと姿を消す。
呆気にとられて家康が立てないままでいると、やがて胸にまた――大輪の山百合一輪、抱えた三成がすたすたと家康の前まで歩んで、止まった。
「やる」
低い声音だが、そこに険はこもっておらず。
「…儂に、か?」
丸い山吹色の瞳を、ますます丸くしながら。驚きつつも、そっと三成の手から山百合を受け取り、家康は――想わず笑んだ。
「花くらい、愛でろ」
ぼそっと。
吐き出されたその声音に痛く耳をくすぐられながら。家康は笑った。
「儂は竹中軍師のように、美しくはないからなぁ」
花など似合わぬ、と続ける彼に。
「美しくない?」
家康の言葉に三成は、き、と切れ長の瞳の淵を吊り上げながら不思議そうに小首を傾げて続けた。
「もののふに美しいも美しくないも、あるものか。戦場で容姿なぞなんの足しになろうや。似合う似合わないではない。花を愛でてやれ。別にお前が美しくなくてもよい。短い命をいと惜しんでやれば、花は喜ぶ」
三成の――あまりにも無頓着な、しかしさっぱりと告げられた胸中に。
家康がますます呆気に取られたように口まで開けてきたので。
三成は怪訝に「…私は、何かおかしなことを云ったか?」と、少し俯きながら問うた。
「…いや…」
いいや。そう答えながら、家康は胸の中で馨しい色香を放つ山百合を見やった。
それから、ゆっくりと山吹の輝きを持つ眼で、彼の人の淡く陽に透ける、苔色の瞳を捕らえて云った。
「やはり、お前は美しいな、と想って」
其の言葉に、三成の瞳が獣のように丸く大きく見開かれ。さわわ、と音まで立てて、銀色の髪が逆立ったようだった。
くるり、踵を返す背中が。
どこか幼いままの儚い風情だったので、家康は想わず慌てて具足を履くと、その後ろに続いた。
さくさくと、初夏の濃い緑の庭の奥へと三成は進んでいく。其の耳の先まで紅く染めたままで。
「おい、三成」
呼び掛けには応えてくれなかったが、ちらり、こちらを横顔で伺うので、多分“ついてくる”のを確かめているのだろう。
家康は手に大輪の山百合を持ったまま、ざくざくと彼の背を追いかける。
そして――濃い木立を抜けた先、少し谷間のようにさえなっている林の間――広がる景色に息を呑んだ。
一面の、百合畑。
自分が持っている山百合の白だけでなく、鬼百合の黄丹色やささゆりの淡い黄色、とにかくありったけの百合が、そこには咲いていた。
三成の膝まで軽く、隠すほどに。
咲き誇る百合の花弁と、馨り高いこと。木立の合間から射す太陽に想わず、眩暈を覚えながら。家康は「…これは…」と、息を呑んで。
家康の方を振り返りながら、三成が――まるで、“佐吉”だった頃のような頼りなげな表情を浮かべていて。
「…これ、全部お前が植えたのか?」
百合を踏みしだいてしまわぬよう、ゆっくりと近付いてくる家康に向かって、三成が静かに答えた。
「最初から、こんな畑に成るとは想っていなかったのだが」
右腕を曲げて、左の肘を抱え込みながら。三成が続けた。
「毎年花が減らぬよう世話をしていたら、気付いたらこんなになっていた」
そして、彼が顔を上げた。
白い顔が陽射しに透き通り、そこに“凶王”と呼ばれる若武者は――まるで、人ではないような風情で立っていた。彼の着ている濃い本紫の薄い布地が透けて、折れそうな鎖骨が見えることに、家康は目を細めながら。
「花は、好いだろう」
微かに。吐息のように彼が云うので、家康は
「ああ」
と。想わず満面の笑みを浮かべた。
「とんでもなく美しいな」
其の言の葉は、果たして眼前に広がる百合の絨毯に向けられたのか、それとも。
ふわり。
彼の人は笑った。
はにかむように微かに、薄く整った美しい唇に弧を描かせて。
細められた苔色の切れ長の瞳が、女郎花のようにきいろに見える。夏の太陽のせい。
銀の髪はさらさらと、風に吹かれてきらきらひかりを乱反射させていた。
嗚呼、君を。
さくり、さくりと微笑む彼に近付きながら、家康は心から想った。
この美しいままで、閉じ込められ得るなら。

この命さえ、惜しくはないのに。

「花を、ありがとう」

感謝の言葉と共に手を差し伸べれば、彼は躊躇わずにそっと、白く長い蛇のような指を差し出したので、自分は想わず抱き寄せて、戸惑う彼を一瞬だけ抱き締めた――
あれは、あれは

あの百合に彩られたうつくしい、幼い想い出は


いつのころだったろう?


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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