BASARAの石田を幸せにし隊。

戦国BASARA3の石田三成をひたすらに応援するこっそり避難ブログ

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文月のころ 【上巻】

これを仕上げるため篭っておりました。久々のSS。
半兵衛と佐吉の出逢いのお噺。
と、いうか半兵衛が主人公。秀半大前提で。

長いので、まずは【上巻】をどうぞ

天守閣の一室、城はもちろん、賑やかな城下町まで見渡せる処から。
心地よい夏の風に吹かれながら、半兵衛は大通り、大坂城大手門へ続く道を威風堂々と行軍する親友を見つけ微笑んでいた。
「帰ってきた」
知らず知らず声に出す己の様に、苦く笑う。
踵を返して「半兵衛様、秀吉様が」と廊下で畏まる豊臣親衛隊員に「うん」と華奢な顎で頷くと、軽やかに天守閣の階段を駆け下りる。

長期に渡る、平定と築城視察であった。

大坂から近い近江地方、現在の東西日の本の中央足る彼の地盤を固めてこそ全国への睨みが効く。
織田が東北の武田・上杉と睨み合っている間、豊臣秀吉とその右腕・竹中半兵衛は大坂を拠点に、順調に西日本を抱え込みつつあり。
刻々と迫る織田との決着に向け――二人は各地を飛び回る身となってはいたが、やはり腰を落ち着けられる場所は此処、大坂城で。
季節の変わり目、急に暑くなった今年の夏のせいで蒼くなっていた半兵衛の顔色に気付いた秀吉は、最後まで「連れて行け」と意固地にさえなっていた親友を「いつ織田勢がこちらに取って返すか解らぬ、と云ったのは貴様ぞ」と押さえつけ、一人、近江へ出向いていたのだった。


「予定通りの帰還だね」
「はっ」
「近江で、さして揉め事も起こらなかったんだ。いいことだ」
親衛隊員も、春風のように機嫌のよい半兵衛の様に、微かに笑みながら応える。
「半兵衛様が大坂に残られても、今や秀吉様の威勢は明白。大坂を中心に、我ら豊臣の勢いも日に日に増すばかりに御座いますな」
「ああ。一日も早く…」

――日の本すべてを、秀吉の手に。

そこまで半兵衛が呟いた時、大手門の巨大な扉が「秀吉様、ご帰還なり!!」と云う若武者の高らかな声音と共に、ギィイイ、と開けられて。
「秀吉!」
紫苑の瞳を明るく開き、半兵衛が夏の日射しの中、漆黒の毛艶の愛馬にまたがった親友の名を呼んだ。
だが、次の瞬間。
「…え?」
秀吉の元へ歩みだそうとしていた半兵衛の、本紫色の具足が止まる。
後ろに控えていた親衛隊員達も、帰還した主君――秀吉が胸に抱えているものに気付き、不思議そうにその――
「…小供?」
半兵衛が呟き、長い白い睫をぱさぱさと鳴らしながら何度も瞬きし、どんどんこちらへ近付いてくる親友を見やった。
「留守をご苦労であった、半兵衛」
秀吉から掛けられた言葉にようやく、半兵衛は「お帰り、秀吉」と微笑んで彼の顔を見上げたが。
すぐに、その視線は彼の手のひら――まるで人形のように美しい羽織と袴を着込み、ぴくりとも動かない“小供”に向けられた。
秀吉の装束の胸の辺り、ふさふさと揺れる毛皮にしっかと幼い手を絡ませながら。
小供は、強情そうな口元をへの字にして、うつむいていて。
歳の頃からみれば、もう大人に抱えられるほど幼くもない背丈ではあったが、秀吉の手のひらにかかれば、それはまだようやく言葉を覚えたばかりの稚児のようにすら見えて。
そして、その毛色に気付いた時。
「…ひで、よし」
半兵衛が驚きで声音を高く、力なくして、幼子から目を離さずに無二の親友にして己が主君に問いかけた。
「…この子…」

白い。
まるで、自分のように。
肌も、髪も。
そして瞳は、明るい陽に当たればそれは綺麗な――川底に映えるような、苔色になるだろう。

「――うむ」
驚きで目を丸くしている半兵衛をいつもどおりに見下ろしながら、秀吉は答えた。
「あちらで世話になった石田家の子よ。四人兄弟の末子でな。石田の家に置いておいても、いずれ寺にでも預けるつもりだとこれの父親が云うので、なれば我の子飼いにと、連れ帰った」
自分の胸で相変わらず、“石のように”息を潜める子を紅い瞳で見下ろしながら、秀吉が続けた。
「幼いが、もういくらかの読み書きも出来る。賢しい所作も覚えておる。この歳から我が手元で育てれば、いずれ豊臣の力になるであろうと思うてな」
「…そう…」
半兵衛が驚いている間に、秀吉は愛馬から小供を抱えたまま降りて、初めて訪れる場所と群集――兵らに気圧されしているのだろうか、強張ったままのその子を人形でも扱うかのように、ぽん、と地面に降ろした。
「佐吉、これが道中話していた、我が親友にして右腕、竹中半兵衛よ」
佐吉、と呼ばれた小供は、視線を捉えるために膝をついてしゃがんでくれている秀吉の顔をはっ、と見上げると、次にはおずおずと半兵衛の白い顔を見上げて。
そして、彼も気付いた。
目の前に立っている、まるで女人のように線の細い、美しい人が――自分と同じ毛色なことに。
ぱちくり、と、大きな苔色の吊り目が驚きで瞬いた。
その様に、半兵衛が思わず破顔しながら、小さな其の子の前にしゃがみこみこう云った。
「――なんて綺麗な子だろう!」
小さな其の子の持つ雪のように白い肌、さらさらと柔らかな、紫苑の陰を潜ませる銀髪、整った目鼻立ち――は、人形のように愛らしかった。
が、次にふっと半兵衛の笑みが引き
「…おのこ、だよね?」
と、秀吉の顔を見上げながら、彼は思わず訊いた。
その問いに「はっはっはっ」と、よく通る男らしい声音で思わず笑いながら、秀吉が立ち上がり佐吉、と呼ぶ子の頭を撫でた。
「もちろん、おのこよ。母御に似ておなごのような顔をしておるがな。口を開けば、なかなか幼い割に確かなことを云うのだ…と。佐吉、挨拶を」
秀吉に促され、はっと畏まった子は、貝殻のような手のひらを膝にあてながらぺこり、と浅葱色の羽織を腰からふたつに折り曲げて。
「石田家が三男、佐吉、ともうします」
と、幼い中にも必死に凛としたものを含ませた声音で、半兵衛に向かって初めて声を聞かせた。
半兵衛はといえば、その仕草だけで既に目の前の美しい子に心奪われたようで。
なんて愛らしいのだろう、と更に微笑を増して、幼い“佐吉”に向かって膝をついて視線をあわせてやり、至極柔らな、労るような声音でこう返した。
「僕は、竹中半兵衛重治」
にっこりと。
このうえなく華やかに、美しい桃色の紅を注した唇が、柔らかい弧を描いた。
「これからは、僕と秀吉を本当の親だと思って、此処で暮らせばいいからね」
ね、と小首を傾げながら半兵衛がちいさな佐吉に微笑めば、幼子もまたそれにつられて此処に来てから――初めての、ほころぶような笑顔を見せた。桃のような小さな唇から、微かに安堵の息を吐きながら。


慌しく地方の家臣達からの捧げ物や検分書を広間で纏め、それぞれの役処の者達に分けている間も、佐吉はちんまりと、まるで小動物か何かのように秀吉の横に座っていた。だが決して何気なしに彼――秀吉の横に居るわけではないようで、彼が家臣へ指図する言葉、渡す物、なにひとつ見逃すまいと大きな瞳をさらに見開いて、白く尖った耳を立てているようで。

――不思議な子だ

其の様を、佐吉が座っている反対側に座しながら窺い、半兵衛は小首を傾げた。
近江は佐和山地方の土豪の石田家で秀吉がどれくらいの間世話になっていたかはまだ聞いていないが、まだ幼い小供が少しも恐れず(“畏れる”、ではなく)に、秀吉の傍にいることが――半兵衛には不思議だった。
一体何があって、この子を“飼う”と決めたのか。
他にも大坂には既に何人かの子飼い衆――将来、豊臣の優れた将と成るべく集められた小供らが居るが、ここまで幼い子は初めてだ。
「――以上で、武具全般は全てだ。半兵衛?」
は、と気付けば、あらかたの片付けは終わっていて。
半兵衛は視線を秀吉に戻しながら、「うん、これでいいと思うよ」と微笑んで見せた。
「皆、ご苦労だったね。今は織田方も武田・上杉の動向で手一杯。暫くは安心して、大坂で休んで呉れ給え」
半兵衛からの労いの言葉に、近江へ出向いていた家臣一同が畏まって頭を垂れる。
「もちろん、秀吉もね」
「お前が“休め”と云うてくれるとはな。珍しいこともあるものよ」
クク、と苦く返されて、半兵衛がううん、とわざとらしく咳払いをしながら彼の紅い瞳を睨み付けた。
「僕が普段君を急かすのはね、君に一日でも早く…」
「分っておる」
きっぱりと。
そう、低く響く声音で断言されると、いつだって反論は出来なくなる不思議。
何も言い返せずに紫苑の双眸に陰を潜ませて自分を見つめ返してくる親友に、秀吉はもう一度黙って頷いてから、横でちんまりと行儀よく座ったままの佐吉の肩を抱き寄せて、そのままひょいと半兵衛の前に持ち上げて見せた。
「これも長旅で疲れておる」
ぱちくり、と。
大きな苔色の瞳と、黒鳶色の長い睫が瞬いた。
「なあ、佐吉」
「――佐吉は、だいじょうぶです」
秀吉さま。
そう続けながら、佐吉は秀吉に抱き上げてもらったのが余程嬉しいのか、白い頬を紅くしてにこにこと。
其の様に、半兵衛の口元も思わずほころぶ。
「そう?でも佐吉君、お腹は空いているのではないかい?」
半兵衛の言葉に佐吉が驚いて彼の顔を見上げると同時に、きう、と佐吉の小さな腹の音が鳴ったので、半兵衛の鈴を転がすような笑い声が広間に響き、他の家臣達も思わず幼子の愛らしいことに笑みを。
「そうですな、佐吉殿は道中ずっと秀吉様のお傍に御仕えしておったのですし」
「きちんと御自分の世話は御自分でなさっていたし、お疲れでしょう」
歳の入った初老の家臣達に問われ、佐吉が恥ずかしそうに腹に手を当てた。
「へえ、そうなのかい?」
くすくすと笑いながら半兵衛が優しくその銀の髪を撫でてやると、佐吉は驚いたように半兵衛の顔を見上げて、それから秀吉のほうを振り向くと
「秀吉さまのおっしゃられていたとうり、おやさしい方です」
と、云った。
「はは、本当にお前は人の云ったことをよく覚える子だ」
覇王、のふたつ名が嘘なのではないか、というくらいの風情で。
秀吉が照れながら笑ってみせて呉れたので、半兵衛はそれだけで大坂で一人悶々と地図と睨み合う日々を赦せた気がした。


夕餉を道中共にあった家臣らと済ませた後、薄く夜の帳がかかり出した大坂城の廊下の途中。
「佐吉君はどうすればいい?」
と、半兵衛が秀吉に問うたので、秀吉も「暫し、西の丸にでも寝かせるか」と応えた。
だが、秀吉の足の横にぴったりと身を添わせていた佐吉を呼び出された侍女たちが連れて行こうとした時、初めて佐吉が不安を顕にして――大きな苔色の瞳で、秀吉の顔を見上げた。小さな首が折れてしまうのでは、という勢いで。
「佐吉、案ずるな」
その様子に、秀吉は相変わらずの仏頂面で凛と告げる。
「お前は我の子飼い。我の家臣。決して不自由はさせぬ。何かあればすぐに、端女達に申しつけよ」
「えーっと、佐吉君」
秀吉の小供相手には不釣合いな単語の羅列を、半兵衛が柔らかく噛み砕いて佐吉に与える。
「君の面倒は、当面はこの侍女たちが見るからね。なにか困ったこと、欲しいものがあったら遠慮なく云えばいいよ。いいね、君達。佐吉君を頼むよ」
だが、其の言葉も耳に入らぬかのように、佐吉が此処に来て初めての――大きな声で
「秀吉さま」
と、目を潤ませながら、促す侍女の手に逆らって、秀吉の紅い瞳に縋った。
其の様に、半兵衛が驚いて目を見開く中。
「佐吉、案ずるな。お前と我は、今日から同じ屋根の下で暮らすのだ。確かに此処は広大だがな、我が此処の主で在る限り、決してお前に悪いようにはせぬ。安心して己の新しい寝床へ行くがよい」
うむ、と秀吉に大きく頷かれ、佐吉はようやく安心したのか「…はい」とぺこり、小さな頭を垂れた。
「おやすみなさいませ、秀吉さま、はんべえさま」
「うむ」
「おやすみ、佐吉君。また明日ね」
半兵衛が宥めるように、しゃがんで佐吉の視線を捉えながら、微笑んだ。
「…はいっ」
また明日。
その約束が、なによりも佐吉の心に安堵を与えたようだった。


「…あの子は、不思議な子だねぇ」
佐吉に向かって手を振りながら、半兵衛がぽそり、秀吉に向かって呟いた。
「不思議?」
毛色がか、と続けた秀吉に向かいふるふると白銀の巻き毛を揺らしながら、半兵衛が応える。
「だって、普通の小供って、大抵君を怖がるじゃないか」
くすくすと、半兵衛が紫苑の大きな二重の瞳でいたずらっぽく、秀吉を見上げる。その視線に「ム」と一瞬唸った後、秀吉は珍しく、「フ」と愉快そうに笑った。
「そうであろう。あれは、最初から我を恐れなんだ」
そう云われれば、不思議な子よ、と秀吉も笑う。
「――どうして、あの子を連れてきたんだい?」
「…いやなに」
「僕と同じ毛色、だからとか」
「………」
「本当にそうなのかい?」
半分冗談めかして訊いてみたのに、秀吉が押し黙って視線を反らしたことに、半兵衛が驚いて声音を高くした。
「…毛色だけではない」
肩で大きく息を吐きながら、秀吉が大きな掌で額から口までを拭いながら、近江での記憶を辿った。
「兄弟の中で、あのような銀糸と雪のような肌を持っていたのは、やはりあれだけよ。姉が一人いて、其れは明るい茶色の髪と目だったが…まあ、よい。武家、とは云っても石田家はしがない土豪だ。半分は百姓のようなことをして、日々暮らさねばならん。佐吉は歳の離れた兄達からは、あまりかまってもらっていなくてな。姉も姉で、母御の手伝いで忙しい。故に、いつもぽつんとひとり、庭で…」
「ふうん…」
「まるで、初めて逢った時のお前のようだと」
「…え?」
「書物の山に埋もれ、ふてくされて厭世気味になっておった、お前のようだったと思ったのだ」
佐吉の寂しそうな、だがそれを黙って受け入れている背中が。
「…え…」
「お前に似ておった。そうだな、否定はしない」
そう云いながら、秀吉は多分――“彼”にしか見せ得ぬ笑みを。
思わず息を呑みながら、半兵衛が慌てて視線を紅い瞳から反らした。
「失礼だな、いくら主君とは云え」
そう云いながらも、半兵衛の頬は微かに上気して目は――笑っていた。
「僕は拗ねてたワケじゃないよ、あの頃。ただ、僕の采配を生かしてくれる者と巡りあう運命を、諦めかけていたんだ。分かるかい?秀吉。君に逢う前の僕は――君を知ってからの僕は――…」

――まあ、いいや。

そう云いながら、紫苑の瞳を細めて気持ちよい、初夏の夜空の月を見上げる。
ぼんやりと、暑さに霞む。
「いい月夜だね」
「うむ」
そして暫く二人だけ、長い回廊を進んでいたが。秀吉が
「――半兵衛、我の寝所に何かようであ」
と、云いかけて、ぐ、と口を閉ざした。
流し目でじっ、と秀吉の紅い瞳を睨み付けた後、彼の人は至極、残念そうな溜息を。
「本当に、君という人は」
それから、くすくすとこのうえなく艶やかに。
桃色の紅を差した唇が笑った。
「人の心を掴む才にとんでもなく長けている曲者か、とんでもなく君を想う僕の気持ちに対して鈍いのか、どっちなんだろうね」



次の日、佐吉が寝かされている部屋に直々に足を運んだのは、半兵衛であった。
驚いた侍女たちが慌てて畏まる中、ぱちくり、と大きな目を瞬かせる佐吉の前にとん、と座り、半兵衛は大手門で見せたように、華やかに幼子に笑んで見せて。
「おはよう、佐吉君」
「おはようございます、はんべえさま」
はきはきと。背筋をぴんと伸ばして畏まる幼子の様に、半兵衛が周りの侍女たちが思わずほう、と溜息を零す様な笑みを更に浮かべてみせて。
「秀吉とも相談したのだけれど、君はまだ他の子飼い衆より幾分幼いのでね。僕が直接指導をしようと思うのだけれど」
佐吉君はそれでいいかい?と問われれば、佐吉も直ぐに「はい」と畏まり、「よろしうおねがいもうしあげます」と、小さな身体をきちんと折りたたんで手と頭をついてみせたのだった。


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ゆみのや

Author:ゆみのや
戦国BASARA3の石田三成にぞっこん一目惚れいたし
こっそり応援し隊所存にございます。

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